講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


7. 冷水浦の大工=大家として
伊藤:  冷水浦集落が持つ雰囲気そのものが資源だと思っています。100万円で購入した1棟から始まった改修プロジェクトですが、様々な物件を貰ったり購入したりしながら、いつの間にか10棟を超えました。係わる家が増えれば増えるほど大工仕事が生まれるので、ある意味で仕事を作り出すために買い続けてきたところもあります。
松村:  大工だからここまで展開してきたわけですね。でもそれだと利益は出ませんよね。自分が行った作業に対して、伊藤さん自身が支払うことになりますから。
伊藤:  そこが難しいところです。改修して資産価値が上がれば投資になりますが、そんな立地でもない。援農者の宿泊はかなり助かっていますが、期間が限られます。ここで儲けることはできないとよく言われます。この辺りの建物に手が入らないのはその証しかもしれません。でも決して損はしていないと思うんです。お店を開いて1年ほど経ちました。人件費を含めると月5万円くらいの赤字が続いていますが、この間に家を二つ貰えました。たまたまかもしれませんけど、年間60万円の支出で家が2棟増えたので、多分儲かっているんですよ。
鈴木:  カフェ・ビアバーも評判が良いようです。ビールを醸造しているのですか?
伊藤:  山を越えた所に、30代の4人がやっている小さなブリュワリーがあります。そこで造ったビールを出しています。彼らと協力関係を築きながら、こちらでもビール造りができるようになればと考えています。何か尖ったコンテンツがないと話題にならないと思うんです。認知されないまま消えていってしまう。ちなみに、次に作ろうとしてるのは手芸屋さんです。おばあちゃんが常駐してずっと編み物をしていている。来店した人も一緒に編み物をする。全然儲かりそうにありませんけど(一同爆笑)。



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