講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


3. 弟子を育てる
鈴木:  お話を伺っていると、最近は現場を二つほど抱えているようです。
伊藤:  自分だけだと一つが限界ですが、見習い大工のフランコ君がいるので回せています。彼はペルー出身です。中学生の頃から日本に住んでいてネイティブ並みの日本語を話します。
フランコ:  2019年までは岐阜県に住んでいて、みかんの収穫支援のために和歌山にやってきました。2022年の春に伊藤さんと出会ってからは、ここで大工を目指しています。
伊藤:  きっかけはコロナ禍です。フランコは百弦琴(サントゥール)のプロ・ミュージシャンで、30分くらいの演奏なら即興でこなします。それまで月20万円は稼いでいましたが、コロナ禍で演奏の仕事がなくなってしまった。仕事が欲しいというので、日雇いアルバイトとして来てもらうことになりました。冷水浦の空き家を直す仕事が色々とありますから。フランコに大工経験はありませんでしたが、既に独立できるくらいの腕前です。みっちり1年間もやったら一本立ちできるんですよ。ホームセンターで道具は売っていますし、YouTubeを見たら作業方法も大体分かります。ですからフランコを長居させるつもりはありません。ここでの見習いがどんどん入れ替わって、卒業した後にみんなでネットワークを作っていければと思っています。
鈴木:  これまでに何人くらいが、伊藤さんのもとから巣立っていったのでしょうか?
伊藤:  12人くらいになると思います。その半分ほどが冷水浦から巣立っていて、別の場所で現在修行中の人もいます。




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