温熱環境リフォーム 設計・施工について

(3) 良好な温熱環境の実現手段

 

1) 段階的な提案方法と対策レベルの設定 (ガイドブック13ページ)

 良好な温熱環境リフォームを実現する方法として、温熱環境の対策を多面的に用意し、段階的に対策範囲を広げること提案することが考えられます。
対策レベルⅠ 水回りを暖かくする:低断熱性能の場合、水回りの断熱リフォームと暖房設備の設置の組合わせを第一に検討します。断熱性能が現行基準に近い場合は、暖房設備を水回りに導入し、良好な温熱環境に近づけることを検討します。
対策レベルⅡ 日常生活空間を暖かくする:健康維持・増進の効果を得るためには、日常的に長い時間を過ごす場所の対策が基本です。日常生活空間に水回りを含めた断熱区画を設け、身体への健康影響が大きい空間の対策を検討します。
対策レベルⅢ 住宅全体を暖かくする:ここまでくるとかなりの水準となり、良好な温熱環境を形成するうえで最も理想的な対策です。断熱リフォームの費用が増えるため、1階全体など範囲を絞って費用対効果の高い計画案を検討します。

2) 断熱区画とは (断熱区画の特徴) (ガイドブック14ページ)

 断熱区画の考え方は、部分区画と全体区画に分かれます。全体区画は新築の考え方、部分区画は水回りやリビングダイニングなど小規模単位で区画を形成して温熱環境を良好にするという考え方です。部分区画は、室間温度差が発生する可能性が高いので、基本的には生活空間を区画として、ライフステージの変化に合わせて、生活の場を中心に断熱区画を形成していきます。特に高齢者世帯は、水回りを含むリビングダイニングや寝室の範囲を区画することが推奨事項となります。 fig1