温熱環境リフォーム 設計・施工について

(2) 良好な温熱環境の実現するための考え方

 

1) 良好な温熱環境を実現するための考え方 (ガイドブック7〜8ページ)

断熱と暖房で得られる温熱環境:基本的なことですが、既存住宅において良好な温熱環境を実現するためには断熱リフォームと暖房計画が必要です。居間のエアコンを切った後、明け方までにどの程度室温が下がるか、シミュレーションを行ったデータを見ますと、昭和55年基準相当の住宅では明け方までに15℃も低下してしまいます。たとえ平成28年省エネ基準相当の住宅でも11℃近く低下してしまいます。断熱リフォームとしっかりした暖房計画の2つが重要です。
温熱環境に関わる指標(作用温度):身体にストレスが少ない良好な温熱環境の計画には、室温と共に、身の回りの床・壁・窓・天井の表面温度も考慮した温度指標が必要です。温熱環境に関わる指標として、表面温度と空気温度の平均温度で考える作用温度もしくは体感温度で計画することを提案します。
     作用温度≒(床・壁・窓・天井の平均表面温度+空気温度)/2
断熱性能の違いによる作用温度の捉え方:低断熱住宅では、床・壁等の表面温度が低く、空気温度を非常に高めることで作用温度は18℃になります。高断熱住宅であれば室温と表面温度が均一な状態で作用温度18℃を体感することができます。「良好な温熱環境」というのは室温と表面温度を近づけることと考えられます。

2) 良好な温熱環境の実現目標 (ガイドブック9〜10ページ)

 以上から、良好な温熱環境は以下のように定義されます。
  〇季節、外気条件に応じて、適切な室温に保たれること
  〇室内の空気温度ならびに壁面などの表面温度ができるだけ均一であること
  〇室間温度差、上下温度差が極力抑えられていること
  〇特に冬季における温熱環境を考慮すること
 こういったことを踏まえて、ベターリングでは水回りの設計目標をつくっています。住宅改修における水回りの設計に資する温熱環境暫定水準案がありますので、ぜひご参考にしていただければと思います。
表1:住宅改修における水回りの設計に資する温熱環境暫定水準案
浴室
入浴時に最低でも「18℃ (作用温度)」以上を確保する
素足で床面が冷たくならないようにする
湯温を41℃以下、湯に浸かる時間は10分までを目安とすることが守れるようにする
脱衣場
脱衣時に最低でも「18℃ (作用温度)」以上を確保する
素足で床面が冷たくならないようにする
手洗いや洗顔時に冷たい水の使用を避けるようにする
トイレ
最低でも「18℃ (作用温度)」以上を確保する
詳細は、「良好な温熱環境による健康生活ハンドブック」参照のこと
 温熱環境リフォームでは、断熱リフォームと共に日射遮へいと換気計画の検討が必要になります。断熱リフォームが不具合につながらないように合わせて検討してください。