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松村: |
既に虫村(バグソン)には母屋と離れが建っていて、現在は3軒長屋を建設中です。それにしても耳馴染みのない名前です。由来は何でしょうか?
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中村: |
あえて日本語でも英語でもない名前にしたかったんですよ。それから言葉遊び的に、字面が「中村」に似ているのも理由の一つだったりします。
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松村: |
離れは合宿場所として使われていて、長屋は貸し出すそうですね。家族以外が使う場所を、最初からつくる計画だったのでしょうか?
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中村: |
ヴィレッジを作りたいという思いは、藤野移住を決める前からありました。きっかけは、屋久島のエコヴィレッジで行われたリトリートツアーです。参加者が拡張家族になって、みんなでみんなの子供の面倒をみるという体験をしたんです。2020年のことでしたがとても感銘を受けまして、移住するなら自分たちが使うだけでなく様々な人が関与できる場所を作りたいと思うようになりました。最初はもう少し町の方で土地探しをしましたが、工務店の人から「もっと奥に行っちゃえば」と背中を押されてここにたどり着きました。バブル時代に宅地開発が始まりかけたそうで、擁壁だけ作られた状態でした。
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佐藤: |
長屋には、どういった住まい手を想定しているのでしょうか?
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中村: |
藤野移住者のエントリー住居に位置づけています。ここに住んでいる間に、藤野のコミュニティに馴染んでいって土地探しなどをするというイメージです。2年間ほどを目安に入れ替わっていくようにしたいと考えています。
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松村: |
それにしても、よくご家族が賛成されましたね。
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中村: |
妻は高野山の出身でして、海以外なら何処でも構わないというスタンスでした。
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松村: |
空海のお導きでしたか。日本各地の空海伝説が示すように、場づくりの元祖みたいな存在ですからね。疑問に思っていたことがかなり解決しました(一同爆笑)。
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中村: |
都会では暮らしの不具合をお金で解決できます。だけどこうした場所では、そうした方法だけでは対応できなくなります。長屋の家賃は、こちらから設定しないつもりです。それじゃあその場合、住まい手はどのような振る舞いをするのか。こうした問題意識に共感してくれる人たちと一緒に、暮らしのバグを体験してみたいと思っています。この離れは、緩やかにオフグリッドになっていて、虫村暮らしのモデルハウスを兼ねています。
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鈴木: |
環境を配慮した住まいには、どこか無理を感じたりするものですが、そうした感じがしないですね。この離れにしても雨水集水、太陽光発電、コンポストトイレとエコ装置一式を導入していますが、その一方で衛星インターネットが備わったりしています。
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