フィンランドの高齢者住宅・施設事例から見る日本のこれから
〜日・フィンでの居住者アンケート結果を交えて〜 <その1>


3) フィンランドの福祉の特徴
 フィンランドのスーパーにはお金入れて遊ぶスロットマシーンやポーカーがあり、18歳未満は禁止なのですが、フィンランドスロットマシン協会という北欧唯一のギャンブル事業を独占している機関があります。ここでは収益金を全て保健福祉に還元しており、かつ非営利のNPOなどへの助成を行っています。北欧諸国の中でのフィンランドの特徴の1つが、高齢者住宅や老人ホームにおいて、自治体が運営している公的なものが少なく、昔からNPOが非常に力を持っていて、サービス提供を進めていることです。その背景にはこの協会の存在がありました。ただ、今年2017年から色々と仕組みが変わりまして、この協会が行っていたNPOに対する助成については、国がつくった別組織が行うことになったようです。
 フィンランドの福祉の特徴は、尊厳の尊重、自己決定の権利、プライバシーの権利の保障があげられています。これはどこの国も基本的には同じと思いますが、根底に流れているものは、自立と自律の思想です。フィンランドでは、“サービス”について、お客様をもてなすとかそういう思想はほとんど無く、基本的には自分で生きていくことで、それを必要なところは支えていきますよという姿勢・視点です。ある意味厳しい社会ですね。その辺りは色々な場面を見ていて、一貫して感じるところであります。日本ではサービスを手厚くすることを良いことと評価しますが、向こうでは決してそういうことを求めているわけではないということです。 fig9