フィンランドの高齢者住宅・施設事例から見る日本のこれから
〜日・フィンでの居住者アンケート結果を交えて〜 <その1>


 フィンランドはムーミンが有名ですが、文学作品としてのムーミンを読むと、フィンランドの自然、社会、人間関係、人の暮らしや考え方が的確に表現されています。10年ほど前の映画「かもめ食堂」でもフィンランドのことが日本でよく知られるようになりました。それまではフィンランドに行く人は建築やデザイン、音楽関係の人だけだったのですが、今は若い女性なども行くようになりました。

3) フィンランドのデザイン
fig5  フィンランドのデザインは本当にシンプルで機能的です。煌びやかさやデコレーションを一切そぎ落とした中にあるものが大事で、機能的に実用的に組み立てていく中で、自然環境と調和を図りながら美を追求していく考え方です。デザインとは、誰でも使えるもので、何十年経ても親から子へ継いでいけるものとしていることは、色々なデザインを見ていて感じます。
 最近は、EU加盟してから大きく変わって、アメリカナイズドされている部分はありますが、フィンランドが持っていた良いものというのはたくさん残っています。フィンランドの建築は北欧の中でも独特で、シンプルで非常に美しい、自然を生かしたデザインです。フィンランドの建築を見て行きますと、フィンランド人が大事にしているものが見えてきます。例えば教会の礼拝堂は、宗教色が消された、誰でも入って過ごせる空間で、空間が持っている本当に大事なことをシンプルに表現しています。
fig6  写真11は、1950年代から60年代に建てられた、森の中に住むという都市計画の分野で有名な、「タピオラ」という町です。写真12は最近のもので、観光名所にサウナとレストランを複合化した建物です。