「これからの高齢者住宅」−サ高住・住宅型有料・特定施設・GH
「小規模・地域密着・多機能」−原点は『宅老所』・在宅死

(6) サ高住と小規模多機能の併設がベスト

fig12  さきほど述べたようにサ高住と訪問介護の組み合わせでは軽度者にしか対応できません。デイサービスとサ高住の組み合わせでは、重度の要介護高齢者への対応が難しくなります。
特に認知症高齢者や重度身体障害の方々への対応には、小規模多機能との組み合わせがベストです。
fig13  図14の佐賀市「サンコートなべしま」はビジネスホテルの改造によるサ高住で、小規模多機能を併設しています。サ高住9室が5階、小規模多機能が4階の配置です。小規模多機能は地元のNPOである「ふくしの家」が運営しています。もとはビジネスホテルですから、各部屋の面積は18m²以上で、収納・トイレ・キッチンがついています。夫婦向けの広めの部屋もあります。小規模多機能では、9室を『泊まり』に利用しています。小規模多機能には、『泊まり』の日数制限がないので、事実上小規模多機能住んでいることになっています。つまり、サ高住と小規模多機能で合計18人がここで暮らす形になっています。この状態で3年以上経過していますが、法律上の問題は、全く生じていません。
 小規模多機能は、宅老所という日本独特の介護から転化したもので、草の根の市民活動から生まれました。時間制限やサービス制限の無い柔軟な仕組みですから、こういう使い方ができます。
 図15の福井市「レニエフ 二の宮」は、エステサロンの改造による、サ高住と小規模多機能の併設施設です。ここのようにサ高住と小規模多機能が同じフロアで、自由に往来できるスタイルが最も優れていると考えています。繰り返し申し上げますが、小規模多機能には時間制限がないので、サ高住の入居者はいつでも、スタッフのいる小規模多機能のデイルームでテレビを見たり、お話したり、食事したりができます。同じフロアであれば、車椅子利用者の方でも行き来ができます。
 46m²の居室に入居されたご夫婦がおられますが、要介護3のご主人には小規模多機能のサービスが24時間フルにつきます。要介護でない奥様は、買い物などに自由になされています。
fig14  最近は図16のような、廃校になった学校の改造によるサ高住・小規模多機能併設の例もあります。
fig15