「これからの高齢者住宅」−サ高住・住宅型有料・特定施設・GH
「小規模・地域密着・多機能」−原点は『宅老所』・在宅死

(2) 拠点型サ高住

 サ高住に訪問診療、訪問介護、小規模多機能、24時間訪問などを併設した『拠点型サ高住』がこれからの高齢者ケアの主役であることが、首相の所信表明演説で述べられ、国の方針としてはっきりと打ち出されました。国交省の「サ高住の整備等のあり方に関する検討会」の2015年4月7日中間とりまとめで、『拠点型サ高住』が地域包括ケアの有力な手法とされています。
 その先進的な事例として、柏市の豊四季台団地があります。サ高住1階のテナントとして小規模多機能や24時間訪問介護看護が入り、サ高住入居者に切れ目なく医療・介護が提供されます。最初はサ高住入居者を対象にしたサービスを行いますが、ある程度の経営的な基盤を確立した次の段階で、地域の戸建て住宅やマンションを対象にしたサービスを広げていく形が考えられています。
fig2  大田区の工場跡地に建設された「アクセスホーム庵」は拠点型サ高住の1つです。サ高住とデイサービス、小規模多機能が組み合わされ、1つの事業者が運営しています。1つの事業者が運営することで、デイサービスに通っていた頃から、自宅での生活が難しくなりサ高住に入居し、亡くなるまで、同じスタッフに見てもらうことができます。
 1階が地域住民も通う、定員35人のデイサービスです。小規模多機能は4階です。
 小規模多機能では、リビングダイニングとキッチンの間にカウンターと流しが配置されています。キッチンでつくられた食事をカウンターで利用者がそれぞれ受け取って召し上がるという形にしています。
 小規模多機能には3室の泊りの部屋があります。
fig3  サ高住入居者は、軽度の要介護のときには1階のデイサービスを使い、中重度になると小規模多機能を利用しています。サ高住とデイサービス・小規模多機能の併設が、とてもうまくいっている事例です。