講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


6. 生きる基本スキルとしての大工作業
鈴木:  ちょっと話が戻りますが、近くにあるというジグシアターについてもう少し説明していただけますか?
森:  近所に小学校だった建物があって、様々な活動に貸し出されているんです。1階がカフェで、2階が花屋と活版印刷の工房、3階が映画館になっています。そこでは18歳以下に500円で映画を上映していて、ミニシアターの世界でも希望の星になっているみたいです。ワンコインで変わった映画を見れるので、文化の入口をすごく広げている感じがします。
鈴木:  そうした興味深いミニシアターが移住者によって開設されたわけですね。
森:  キャパシティ40人くらいのいい感じの映画館ですが、お金は多分あんまりかかってないと思います。大工さんと一緒に、本人たちで作っていますから。
鈴木:  その方々も大工作業を誰かに習ったんでしょうか?
森:  さつま芋を洗うサルの集団がいますよね。1頭が洗い始めたら続々と洗い始めたという集団です。それと同じようなことが起きていて、この辺りでは自力で大工作業をするようになっています。ですから同世代の自営業者は、大概が大工道具一式を持っていると思います。
松村:  現在、大工不足が深刻化しています。大工作業をする人が増えているとすれば、希望を感じる現象です。
森:  先ほどお話しした宮原さんは、地元大工と一緒に令和建設という会社を設立しました。建物を直せる人を増やすことが目的の1つで、大学生なども参加しています。工事現場には誰にでもできる作業があります。実際、僕自身も工事現場で生活の糧を得ていた時期がありましたし、本職だけで生きていけない自営業にとって救いの窓口になっていると思います。



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