講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


10.五感で捉える街の魅力
島原:  日本の若い女性のオシャレもヨガのようなことへ移っている。過剰にブランド物で着飾る時代から心身の美しさや、経験の豊かさを求める時代へと、価値観そのものが変わってきています。
木下:  ブランド物を散々買った後に、時間の豊かさのようなことに辿り着く(笑い)。都市開発も同様で、ブランド志向は一度通らないといけない道なのかもしれませんね。集まって飲み食いしたり音楽を聴いたりしながら楽しめるような街が、成熟した街なんじゃないでしょうか。
島原:  外食産業はそうした価値観の変化に気付いているように感じます。全国で同じ看板を掲げたりせず、場所によってコンセプトを変えるような飲食チェーン店が増えています。
木下:  ネットが発展してビジネスの発信の仕方が変化しました。かつてはマスマーケットに向けた発信だけでしたが、小規模マーケットへ発信してビジネス化することが確実にできる時代になっています。
鈴木:  今日はセンシュアス・シティ調査の背景などを色々と伺ってきましたが、こうした考え方はどの程度まで広がっているのでしょうか。
木下:  イノヴェーターレベルには徐々に広がっていると思いますが、今のところ全体に占める割合はごく僅かかもしれません。消費者のほとんどは、実際に触れてからでないと新しい価値に気付きませんから。
島原:  最終的には、サインレントマジョリティの潜在的ニーズが変化するかどうかが重要です。より良い街を目指す指向性は広くあると思うんです。働き方革命が進めば広義の余暇時間も増えます。だから、センシュアス・シティ・ランキングが、街の本当の魅力に気付く一つのきっかけになって欲しいと考えています。



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