自立高齢者の健康寿命の延伸に係る
 効果的な取組とエビデンスの収集

 

(7) 有識者の発言

入居者ができることを増やす支援が有効。
温熱環境も大事で室内の寒冷な環境を変えないといけない。
最終アウトカムとして要介護認定率や認知症発症率が低下することが示されている。社会保障費等の行政コストが節減できる分をPFS (Pay For Success:成果連動型民間委託契約方式) を導入するなどして住宅への入居費用を抑えることが出来るのではないか。
「フレイル予防」や介護サービスの質を維持して健康寿命を延伸することは国家的課題である。健康維持及び増進につながる成果を、エビデンスをもって発表されたことは大事件といってよい。
健康寿命延伸という価値を打ち出すべきという貴重な提案、問題提起である。費用対効果の視点で政策的に議論すべきという問題提起をいただいた。
マンション管理適正評価サイトのように自立期の高齢者向け住宅も標準化が可能な情報を開示してもよい。

(8) 研究課題

現制度では、食堂等の共有スペースを地域開放できません。有識者からは地域へ健康維持サービス提供をすることが求められています。
「食事の提供」の定義が必要です。現制度では「食事の提供」を行うことが有料老人ホームの定義に該当する事業としてみなされ、夜間の人員配置による「運営コスト」やスプリンクラーの設置指導による「整備コスト」などの負担増、及び高齢者住まい法と老人福祉法の双方からの指導対象になります。
現制度では60歳未満の子供との入居ができません。8050問題を抱える親子世帯などがますます社会から孤立すると考えられます。
現制度では整備事業における「家賃の上限」要件により、特に立地のよい都市部において、自立期からの入居、夫婦や親子が入居を検討する「サ付き住宅」を供給しにくくなっています。都市部で戸当面積の小さい「介護型」の住宅が多くなる原因となっています。
サ高住の収益構造は、「家賃収入等」と「介護報酬」で概ね構成されることが多いですが、介護保険事業を行わない自立型高齢者向けのサ高住は「家賃収入」が収益の柱となり、収益構造が弱い面があります。