自立高齢者の健康寿命の延伸に係る
　効果的な取組とエビデンスの収集

「シニア向け住宅における高齢者のWell-beingに寄与する要因」

1) Well-beingの評価方法

• 旭積水ハウスグループ様のグランドマストは、セカンドライフを満喫しようとするシニアへのアクティブ型サービス付き高齢者向け住宅です。
• この研究では、グランドマスト入居者と、地域JAGES (日本老年学的評価研究) での地域高齢者の比較を行っています。比較においては、両者において日常生活自立度や資産などを条件に、傾向スコアが近似する高齢者を抽出する、傾向スコアマッチングを行いました。その結果、グランドマスト入居者830人 (研究同意者1,102人から抽出) と、地域高齢者5,810人 (JAGES調査対象者22.6万人から抽出) のWell-beingを下表のように比較しました。

2) 結果・考察

• 上表のように、グランドマスト入居者は「幸福感」「生活満足度」「人生満足度」「身体的な健康」「経済・生活の安定」が地域高齢者より高く、「生きがい」の項目のみ低い結果となりました。
• Well-beingと関連する項目について比較すると、グランドマスト入居者は地域高齢者に比べ、週に5回以上外出する人が2倍ほど多く、週に4回以上友人と会う人が3倍ほど多いとなりました。
• グランドマストの特徴は「自分の居室」「コンシェルジュデスクによるサポート」「食堂」「食堂の料理」「周りの環境」といったwell-beingを育む環境と考えられます。高齢者 (65歳以上) の孤食は死亡リスクを高め (男性1.5倍、女性1.2倍)、笑いが少ないと認知症リスクを高めるという研究があります。コンシェルジュデスクによるサポートが入居者の外出や友人・知人との交流を促進したり、食堂での食事提供が共食機会を増やしたりしていると考えられます。
• 今後も調査を重ね、“高齢者が暮らしているだけで健康・幸福になるシニア向け住宅”を追求していくとのことです。
• 本研究は日本社会関係学会第4回研究大会最優秀研究報告賞を受賞されました。