持ち家社会の新しい住まい
ーノルウェー社会の新しい動向ー
3) BOPILOT計画 (ベルゲン市)
3つめとして、ベルゲン市という、ノルウェーで2番目に人口規模の大きな自治体による試みである、BOPILOT計画をご紹介します。
BOPILOT計画とは、多様なステイクホルダーの協働による、新しい住宅の在り方に関する研究とイノベーションのための計画です。この計画では、自治体が新たな住宅の計画・供給に関して機動力になり得るか、地域コミュニティにおける社会的持続可能性をどのように確保するか、などの点について検討します。活動資金は、研究支援制度FORKOMMUNEプログラムを通じてノルウェー研究評議会が支援します。活動組織は、ベルゲン単独でのアプライではなく、複数の企業・大学、そして自治体としてはベルゲン市の他、ノルウェーで3番目に人口規模の大きなトロンハイム市が参加しています。2018年秋から2022年秋の5年間の展開した活動です。
BOPILOT計画の理念は、「シェアは社会と自治体の課題を解決する」「シェアは自治体と社会に付加価値を生み出す」という、シェアすることを非常に重視するものとなっていました。計画目標は、「住宅セクターにイノベーションと多様性をもたらすこと」「新しい住宅の選択肢に関する知識と関心を喚起すること」「新しい住宅モデルやシェアハウス、コ・ハウジングの市場があることを住宅開発事業者に確認すること」の3つでした。
具体的には次の4つの取組が行われました。
①
Degitalmedvirkning:デジタルを活用した参加を意味し、Web上で市民の意見を募るアンケートを実施しました
②
Designsprint:共有および共同利用による住宅提案を目的に、市民、住宅開発事業者、建築家共同のワークショップを開催しました
③
Hackathon:ノルウェー全土における新しい住宅ニーズと住宅市場を結びつけるデジタル会議の場を設けることを目的とし、そのスタートアップとして24時間のオンラインアイデアコンテストを開催しました
④
Utstilling (NABO):エキシビションとの意味で、ベルゲンの国立近代美術館で住宅に関する様々な観点から企画展、講演会、ワークショップを開催し、市民への啓発を展開しました
新しいコ・ハウジングDelegårdenはBOPILOT計画の産物です。Designsprintを通じて設計提案がなされ、NABOでの出展で2万人の市民が提案を目にしたこと、そして多くの市民の関心を集めたということで、実現が決定され、現在建設が進んでいます。
BOPILOT計画は2022年秋に終了しましたが、その後も、市民と住宅開発事業者の対話や、新しい住宅について検討する場として、Bopilotkontoret (Bopilotオフィス) がベルゲン市住宅課のオフィスに設置されました。ヨーロッパの各自治体には、シティ・アーキテクトという方々がおられ、住宅課とか建設課の職員よりも自由な発想のもとに、自治体の中での住宅供給やデザインに関する建築計画立案や、プロジェクト立上げなどに関わっておられます。Bopilotオフィスもベルゲンのシティ・アーキテクトのオフィスに設置されています。オフィスがとてもきれいにデザインされており、建築・デザイン・空間に対する考え方とかリテラシーが、我々の社会とはかなり違うかなと感じます。
このオフィスではBOPILOT計画をフォローする活動が行われています。シェアハウスやコ・ハウジングへの居住を希望する市民が、それらの住宅を供給する事業者への相談や、民間事業者が新しいタイプの住宅販売の計画を公表する場としても利用されています。各種住宅の普及啓発に関するイベントも2023年11月末から展開しています。
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