持ち家社会の新しい住まい
ーノルウェー社会の新しい動向ー
(3) 新たな住宅供給の動向
1) GainingbySharing (以下、GbS)
多くの国民の住宅所有が実現した一方で、高齢化の進行と世帯規模の縮小が課題となっています。さらにノルウェーでは住宅市場におけるCO2削減目標を厳密に設定しております。そのような状況の中から新しい住宅供給の動向が生じているということで、調査を実施いたしました4つの事例 (GbS、OBOS、BOPILOT計画、ノルウェー国立住宅銀行) を紹介したいと思います。
1つめは、GbS、つまり「分かち合うことによって得る」との名称のついた住宅共通のパッケージモデルです。このサービスを提供する民間事業者の名称 (Gaining by SharingAS) であると同時に、彼らが提供するライセンスモデルとプロセスガイダンスを導入した住宅提供のモデルの名称でもあります。
この住宅の所有方式は、日本では馴染みのない、居住権所有になります。持家社会であるノルウェーの方々は、自分の取得した住宅の価値に注意を払っており、転売できるか、そして転売したときにプラスアルファの利益があるかということをとても重視します。GbSでもそのあたりが非常に重視しているということでした。実際何人かの方が転売しているといったのですが、販売開始当初よりもプラスアルファの価格で販売できたということもおっしゃっていました。
GbSが推奨する住宅は、①CO2削減に寄与する環境配慮、および②社会的孤立を払拭するための共用空間の配置と居住者による自主管理をコンセプトとしています。①への対応としては、CLT (直交修正板) を構造部材とし断熱性能を高めた構法により住宅を建設しています。また様々な住宅の様々な設備を共同で使用すること、電力使用量を削減できるモデルと説明されています。②に関しては、住宅内に多様な共用空間を配置すると同時に、販売開始段階から、住民の自主管理を実現するための講習やワークショップを実施することで対応しています。
GbSには環境への配慮や電力使用量削減、社会的孤立を防ぐこと、多様な住まい・施設を供給することによる経済的効果があり、さらに優秀なデザイナーによる魅力的な空間実現で居住可能性を担保する、ビジネスモデルとされています。
GbSのパイロット的取り組みである第1号住宅は、スタヴァンゲル市という郊外都市に建設されたVindmøllbakkenです。この住宅の供給を通じて、GbSのモデルが確立されました。この住宅は500m²の共用空間と40戸の住戸で構成されています。
Vindmøllbakkenでは、住宅の管理運営は住民から選出された5名の役員が務めています。さらに、実際の共用空間の維持管理や住宅内で展開する様々な活動のため、30もの活動グループが立上がっています。これらのグループへの所属や参加は任意です。スウェーデンのコレクティブハウスと同様の仕組みなのですが、スウェーデンの場合は管理運営の活動への参加が義務的な位置づけとなっていますが、GbSでは任意とされていることが特徴と考えられます。
参加は義務化されていないのですが、皆さんが共同利用できるキッチンやダイニングがあり、誕生日会やクリスマスなどの時に、主体的に参加して様々なパーティー・会食が行われています。2階にはセカンドリビングのようなものがあり、住民同士が滞在し交流できる場所となっています。最上階にはライブラリーとガーデニングの空間があります。このように、とても多様な空間が存在しています。
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