スウェーデン『住み続ける』社会のデザイン(前編)

 
fig7  図4と図5はストックホルム市の2013年の報告書ですが、住宅改修の申請件数は、やはり高齢化率の進展に伴って年々上昇しています。費用の上限はなく、個人のニーズに応じた形で供給しており、10万クローネ以上の費用のかかったものもありますが、最多のものは千クローネから2万クローネで、1クローネ=12円で換算すると、1万2千円から24万円くらいになります。日本の介護保険の住宅改修費の支給額20万円は、妥当な価格設定だったのかなと思ったこともありました。
 非常に重篤な状態になった場合の緩和ケアに関して、スウェーデンの興味深いところは、もちろん緩和ケア病棟を持つ病院もあるのですが、それ以上に在宅緩和ケアユニットという、緩和ケアの訪問診療を行うユニットを持っている病院の数の方が圧倒的に多く、23ヶ所もあるということです。緩和ケアは一般的にはガンの終末期ケアというような捉え方がされていますが、ストックホルム県では2013年に、県の方針が出まして、その対象をもっと拡大して、重い糖尿病の方とか、重介護の高齢者にもこのケアサービスを適用していく方向性が提示されました。
fig8  図6はストックホルム県の2012年度の亡くなった方がどこで亡くなったかのデータです。38%は病院となっています。15%は緩和ケアを利用している人たちで、これは病棟に入院している方と、在宅で緩和ケアを利用している方たちの両方が混在しているそうです。45%は高齢者住宅、5%が在宅でホームヘルプサービスを受けている方、7%はその他ということになっています。つまり住宅と類されるカテゴリーの中で亡くなっている方が5割から6割近くいるという状況が読み取れます。