スウェーデン『住み続ける』社会のデザイン(前編)

(5) 住み続けるための 福祉・医療サービス

 高齢者や障害をお持ちの方の在宅での居住継続を実現する上で、スウェーデンでは社会サービス法 (1982年〜)、保健・医療サービス法 (1982年〜)、機能障害者のサポートとサービスに関する法 (LSS法:1994年〜)の3つの法律が非常に機能しています。
 社会サービス法は、スウェーデンの社会サービスの枠組みおよびサービスに関わるコミューンの責務を位置づけたものです。スウェーデンの場合、福祉サービスというと非常な広義な意味を持ちますが、社会サービスとしては、子ども・青年に関するケア、高齢者ケア、障害者ケア、子育て支援、高齢者や障害者に対するホームヘルプサービスなどが本法で規定されています。
 保健・医療サービス法はスウェーデン国民に対する医療及び保健管理に関する規定が定められた法律です。93年度の改正により、広域自治体のランスティングが、障害者のリハビリテーション、福祉用具の開発、住宅改造を行うテクニカルエイドサービスの供給に責務を負うことが定められています。終末期医療、終末期の緩和医療も当然のことながらこの中に位置づけられています。写真3は私が博士論文の研究のときに調査した、先天性上肢障害をお持ちの方の住宅での、テクニカルエイドサービスによる住環境サービスの例です。日本ですと例えば介護保険の住宅改修費の給付は、改修箇所というものが限定されておりますが、スウェーデンの場合そうした改修箇所、あるいは供給される福祉用具の限定というものはありません。スウェーデンの集合住宅ではランドリー室が地下にあって、共有で使うことが一般的ですが、彼女は他者と一緒に洗濯するのは困難ということで、通常の市販の洗濯機と乾燥機を福祉用具として給付を受けており、経済的に本人の負担はありません。その後、一戸建てを購入されましたが、キッチンの、ボタンを押すと内部がせり出してくる収納なども、テクニカルエイドサービスによって供給されています。 fig6