講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


7. 「長い時間をかけた解体」という視点
松村:  ある講演で山治織物工場の活動を紹介したところ、「それはすごく時間をかけた解体作業ではないですか」と言ってきた女性建築家がいました。「サグラダ・ファミリアのように、長い時間をかけた建設はあるけれど、何百年もかけた解体は聞いたことない。そこが面白いのではないですか」と言うんです。確かに何かが足されない限り減っていく方向ですから、そんな見方もあるのかと思いました。
石井:  必ずしもモノとして残ることを意識していないので、不自然な考え方ではないですね。いずれはなくなるかもしれないと考えるのは。
西村:  場が動くということは、織機が外に出たり柱が一本加わったり、モノの移動の連続です。そういった意味で最終的に解体されたとしても何ら不思議ではないと思います。人に関しても同様のことが起きていて、ここに関わってきた方々が亡くなる一方で小さな子供が生まれたりして、変化しながら繋がって行っているように思います。そういった意味でも止められない感じがあります。



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