講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5. 床をはつる/場を確かめる
西村:  東日本大震災が起きるまでそうした作業が続きましたが、2011年は一時ストップすることになります。
山ア:  この辺りの揺れは震度6 弱ほどでした。結構揺れたので工場に飛んでいきましたが、大きな損傷はありませんでした。次の作業に向けて柱同士を矢板で連結していたのが良かったのかもしれません。
西村:  2012年から活動を再開し、織機の基礎を斫りました。時間をかけて手作業で少しずつ割っていきましたが、地面を露わにすることによって、その場所を確かめるという行為をしていたんだと思います。斫りが終わった後は、2010年頃から2014年頃まで徐々に土間を打っていきました。ただ、中央の床の扱いはまだ決断できていない状態で、これからじっくり考えたいと思っています。
石井:  ここに課題が集約されていると思うんです。19年間止まっていた工場に手を入れ始めて10年以上経ちました。私たちが入ったことで新たな履歴が上書きされてきたわけです。他の部分に手を入れながら、そうした履歴をどうしていくか考えているところです。
西村:  2014年からは工場の外に目を向け、まずはガレージを外しました。風の通り道を作る取り組みです。現在は、中庭の小屋の辺りを整理しながら、このyamajiorimono*worksという活動の目的や今後について考えている最中です。ここ1、2年はこれまでの活動をじっくり振り返ってみようなどと山アさん達と話し合っています。
松村:  取り組みのタイムスパンが長いですよね。普通の建築工事は週単位や日単位で作業が進みますから。
西村:  時間のかけ方を少し変えることによって、仕事でない気持ちになれるというか…。建築工事は工期を決めて作業を進めますが、ここでは過程を大事にして時間を度外視しています。




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