講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.サテライトオフィス
大南:  2010年には上角商店街で「オフィス・イン・神山」というプロジェクトを実施しました。既にアーティストの循環は生まれていましたが、アートとビジネスの間には距離がある。そこで両者の中間に位置するような人たち、例えば、映像作家とかカメラマンとかグラフィックデザイナーのような人たちが、安く滞在できるオフィスを作ってみたんです。空き家の改修を手伝ってくれたのが建築家の坂東幸輔さん須磨一清さんです。坂東さんはニューヨークから戻ってきて東京芸大の助手に着任する予定だったので、「夏休みに学生と一緒に来て古民家の改修をしてみないか」と提案したところ引き受けてくれました。
松村:  そこからサテライトオフィス展開を狙っていたわけですか。
大南:  クリエイターに来てもらったら何か起こるんじゃないかと漠然と思っていた程度です。むしろ、サテライトオフィスの始まりはSansanの寺田さんの決断が始まりです。

寺田さんは、働き方を革新するという理念を掲げて名刺管理のクラウドサービス会社を立ち上げましたが、自らの会社でも新しい働き方に取り組みたいと考えていた。寺田さんは大学の同級生だった須磨さんから話を聞いてやってきたそうですが、神山にオフィスを構えると即決しまして20日もたたないうちに3人の社員が来て仕事を始めました。
松村:  現在、そうしたサテライトオフィスは何社くらいになっていますか。
大南:  11社です。サテライトオフィス「Sansan神山ラボ」ができた時は、本社の人間が順番に来るだけだし、地元に雇用が生まれるわけでもないとマスコミも言っていたんです。ところが、こちらに移住する社員が現れたりしましたし、今では神山ラボの開発拠点化も進められて徳島県での雇用も生まれたりしています。




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