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嵩 : |
興味深い事例の一つに和歌山県那智勝浦町の色川地域があります。先駆的な移住者がいたためどんどん人が集まってきて、現在では地域人口の45%を移住者が占めています。今では移住してきた住民グループが新たな移住者を面接して選んでいる状態です。
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松村: |
どうしてそうした権限を持っているんですか。普通に考えると空き家の所有者が了解すれば住めますよね。
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嵩 : |
「和歌山方式」と呼ばれる県独自の政策があるんです。これは官民一体となった取り組みです。各自治体に設けられた移住の窓口には「ワンストップパーソン」と呼ばれる担当者がいて、移住希望者の相談はもちろん、空き家探しから移住までを一手に引き受けています。一方、民間側にも「受入協議会」という組織が設けられていて、移住者をサポートしています。
この仕組みでは、その人が住めるかどうか面接して、大丈夫だと思ったら物件を紹介することになっています。さらに和歌山の場合は賃貸契約の標準的なひな形が用意されていて、これを用いた仲介を協力員と呼ばれる宅建業者に委嘱しています。
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鈴木: |
移住者が45%を占めるというのは驚きですが、移住してきて何を生業にしているのですか。
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嵩 : |
色川は有機農業にいち早く取り組んできた地域です。そうした農業に惹かれてやってきた方が多いのですが、林業をやっている方もいれば、町に働きに出ている方もいます。最近は家具づくりをしている方や海水を汲んできて塩をつくっている方もいます。
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松村: |
年齢層はどのようになっていますか。
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嵩 : |
色川地域への移住は30年くらい前から始まりました。ですから移住者の高齢化も始まっています。
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