講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.市民活動・地域交流の現状
太田:  10年くらい前から市民活動や地域交流が盛んになってきています。第一世代の間で、ずっと千里で暮らしたいという思いが強まっているためだと思います。千里ニュータウンで生まれた子供が大人になり、お盆には孫を連れて千里に帰ってくる。彼らにとっては千里がふるさとなんです。そのようなこともあって千里に住み続けようと考える住民が増えてきて、住み続けるこの地域をどうしようかと皆が考え始めたわけです。2009年に千里中央にオープンした「豊中市千里文化センター」(愛称コラボ)は、公募による市民委員が市民交流や市民活動を支援する拠点になっています。図書館・市役所出張所・老人福祉センターなどが集まった公共施設ですが、市民委員とそのサポーターによって様々な市民交流の場が企画・運営されています。2012年には吹田市域の南千里に「千里ニュータウンプラザ」という新しい地区センターがオープンし、「市民公益活動センター」が設置されて、吹田市のボランティア団体、NPO、地縁団体などへの活動支援が行われるようになりました。

建替えの事例で紹介しました「佐竹台ラウンドテーブル」は、住区内のまちづくりに関する住民対話の場としては先駆け的存在です。従来はこのような活動が住区を越えることはありませんでした。しかし、ここ10年ほどで住区や市域を越えた交流・情報交換も盛んになっています。豊中・吹田両市の市民団体の交流・情報交換の場になっている「千里市民フォーラム」では、月1回の「サロン」や年1回の「まちづくり市民フォーラム」が開催されて千里ニュータウンの市域を越えた住民が参加しています。また住む地域に囚われない「テーマ型」の交流の場を数多く生み出しているのが先ほど紹介しました「千里文化センター」の市民実行委員会で、千里に住んで数年しか経たない方が委員長を務めたりもしています。活動内容は、飲み物を提供する常設の「コミュニティ交流カフェ」の他に、交流・対話の場として「転勤族カフェ」や「哲学カフェ」といったラウンドテーブルを企画・運営したり、街歩きやオリジナルマップづくりなどに取り組んでいます。

子育て支援活動も徐々に盛んになってきています。例えば、新千里東町の東丘小学校に通う児童の父親などによって結成された「東丘ダディーズクラブ」というユニークな団体があります。小学校の児童数が少なかった10年程前、お父さんたちも子どもたちと一緒に遊ぼうということで集まったのが始まりで、「自分たちが楽しむためにやる。それに子供達を巻き込む。」というスタンスです。校庭でのキャンプを企画したり、地域の運動会などのまちのイベントを盛り上げたりして、地域の人達にも親しまれています。その他にも「赤ちゃんからのESDとよなか」(ESD :Education for Sustainable Development)という団体は小さな子供を持つ親を支援しています。

自然の保全に関しては、130人くらいの会員がいる市民団体「千里竹の会」があり、公園・緑地の竹林管理から竹細工教室、竹炭・竹酢の製造販売まで行っています。



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