地域住宅団地再生事業に関する勉強会

(2) 国土交通省住宅局市街地建築課市街地住宅整備室 石橋氏より
   「国交省における住宅団地再生に関する最近の取組について」

1) 「住宅団地再生」連絡会議

 国交省市街地住宅整備室では、密集市街地の整備改善や住宅・建築物の耐震化といった防災に関する取組や、団地再生について担当しています。
 平成29年に「住宅団地再生」連絡会議を設立しました。参加者には国の様々な部署や地方公共団体、民間企業に入っていただき、総合的な意見交換を行ってまいりました。連絡会議の活動を受けて、当室では「住宅団地再生の手引き (案)」を令和3年6月にまとめました。「手引き (案)」では、現場での支援や関係者との調整等に活用されることを目的に、住宅団地の再生に向けた検討での観点や考え方、取組を進める手順、参考事例・制度を記しました。
 連絡会議では、ワーキンググループを立ち上げ、「手引き (案)」をブラッシュアップして、「手引き」とするための作業に取組みました。ワーキングには、本日参加いただいている横浜市さんを始めとする自治体や民間企業に参加いただいています。住宅団地再生は、これをやればうまくいくということは、なかなかありません。ワーキングでは健康・福祉、生活サービス、交通・移動、子育て、住環境、防犯・防災、コミュニティなどの幅広いテーマについて、参加メンバーで意見交換しながら「手引き (案)」の修正・加筆を行ってまいりました。先月2月17日に最終回を行い、とりまとめている状況です。
   ※「住宅団地再生の手引き」掲載先(国交省HP)

2) ワーキング参加者の回答 (住宅団地再生の目指すべきゴールなど)

 ワーキング参加者が皆同じ意見ということはありません。自治体と民間企業では立場が異なるといったこともあります。ワーキングで住宅団地再生の目指すべきゴールなどについて質問したところ、様々な回答があげられました。
 住宅団地再生の目指すべきゴールについて、「世帯循環や若年世帯の誘導が継続的かつ自立的に図られ、多世代共生のまちとなった状態」「必要な機能が充足され、住み続けられるまちとなった状態」といった意見が参加者からあげられました。一方で、「ゴールを特に定めず、継続して意見交換を行い、まち・事業者・地域の協働により社会状況の変化に対応していくことが持続可能な住宅団地の実現につながる」「目指すべきゴールは、取組むテーマによって異なる、継続していくことが必要」との意見もありました。
 支援を継続すべき期間については、「自立的な体制・運営が実現できるまで」「多様性のあるまちとして次世代に引き継がれるまで」といった意見があげられました。一方で、「初動期のきっかけづくり、継続して伴走が必要な支援、行政・事業者が責任を持ってゴールまで担うべき支援など、取組みの方向性に応じ様々」「期間終了の期限は無く、ハンドインハンドで永続的に団地再生を支援していく必要があるのではないか」「情報共有・連携については、状態や期間で切ることなく続けることが望ましい」といった、ソフト的なことについては長期的にやっていくことがいいという意見が散見されました。
 住宅団地再生のゴール等に至るまでの特に大きな課題については、「目指すべきゴールの共有や目線合わせ」「課題意識醸成」「将来像共有」といった意見があげられました。一方で、ボランティアベースでは限界があり、収益のあるコマーシャルベースにのせていくこと、民間事業者を如何に巻き込んでいくかとの意見が散見されました。