住宅セーフティネット法の改正と身元保証サービス

 住団連 成熟社会居委員会 講演より

 

「お一人暮らし急増で病院入院や施設入居でいま何が起きているのか?」

公益社団法人シニア総合サポートセンター代表理事 谷川 賢史

(5) 身元保証サポート事業の現状と課題

1) 身元保証サポート事業

 当センターは虎ノ門法律経済事務所(1972年創設、弁護士90名以上在籍)を母体に、2014年4月に設立されました。業務内容は、高齢者等の終身サポート(身元保証、生活支援、死後事務支援、任意後見、成年後見、遺言信託等)及び居宅介護支援です。首都圏・中京圏・近畿圏及び札幌市・仙台市・福岡市・那覇市の各近郊に拠点を設けています。法人保証人として、累計2500名以上の方から、家族代わりのご依頼を承っています。 人生100年時代、そして親族に頼ることの難しい方が増えた現在、ケガ・病気・要介護・認知症・ご逝去等に対して、安心して過ごすために、身元保証サービスの利用が考えられます。サービスの一例は次のようなものです。
身元保証:入院、高齢者向け住宅等へ入居の際の身元保証人の引受、緊急時の駆付け
生活支援:買物代行、病院への付き添い、医師との協議、手術時の立会い、諸手続の代行等
死後事務支援:喪主代行、希望する葬儀・納骨の執行、お部屋の片づけ、各種精算・停止等の事務手続き
 典型的な利用例としては、例えば施設内で介護サービスを受けて過ごされていた方が、救急搬送で病院に入られることがあります。施設では救急車を呼ぶことはできますが、病院の保証人引受・入院手続き・保証金支払いなどはできません。弊社ではスタッフが24時間365日対応できるようにしており、緊急入院時の身元保証などを行います。さらに転院に向けての協議、サポート・延命治療・ご逝去後の対応・入院費用精算 (長期入院、転院、ご逝去時) などを行います。延命治療などについては、予め本人のご希望をお伺いして書面化し、それを医療機関に示してご判断いただいています。
 入居先施設で小火騒ぎを起こした方がいて、実は統合失調症を発症していたことが分かりました。他にも入居先施設で認知機能の低下による、他の入居者とのトラブルが生じることがあります。医療保護入院や介護付施設に移ることについての親族の同意 ・本人への働きかけと説得には多大な労力がかかります。親族が対応できない場合もあります。また転居先の選定や、後見人等の選任、清算関係に入居先施設が対応することはできません。施設入居された後に、認知症や精神疾患が発症され、コミュニケーションが難しくなる場合に備えて、信頼できる身元保証人を確保することは入居者・事業者双方にとって重要と考えられます。