セーフティネット登録住宅は増えていますが、要配慮者入居を拒まないとしているだけで、実際は一般の方の入居が多く、高齢者等なかなか入居できない状況です。現行の住宅セーフティネット制度を見直すポイントは以下の通りです。
1.大家と要配慮者の双方が安心して利用できる市場環境の整備
- 単身世帯の増加、持家率の低下等により要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居に対するニーズが高まることが想定される一方で、単身高齢者などの要配慮者に対しては、大家の拒否感が大きい。以下のように円滑な民間賃貸契約が行われる市場環境を整備します。
- ①
- “賃貸借契約が相続されない”仕組みの推進:入居者が亡くなった後に住宅賃貸が円滑に行われるよう、終身建物賃貸借の認可手続を簡素化 (住宅ごとの認可から事業者の認可へ)
- ②
- “残置物処理に困らない”仕組みの普及:入居者死亡時の残置物処理を円滑に行うため、居住支援法人の業務に、入居者からの委託に基づく残置物処理を追加 (令和3年に策定した残置物処理のモデル契約条項を活用)
- ③
- “家賃の滞納に困らない”仕組みの創設:要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者 (認定保証業者) を国土交通大臣が認定
2.居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進
- セーフティネット登録住宅とは別の建付けとして、居住サポート住宅を創設し、地域における住宅の選択肢を拡大します。これは居住支援法人等が大家と連携して、①日常の安否確認・見守り、②生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎ、といったサポートを行う住宅です。この2つのサポートにおけるICTの活用も考えられます。
- 入居者は高齢者・低額所得者・ひとり親家庭・障がい者などが考えられます。生活保護受給者の場合、住宅扶助費(家賃)について代理納付を原則化します。
- 認定保証業者が家賃債務保証を原則引受けします。
- 地域によっては、サ高住の空き室が10%を越えているところもあります。サ高住の空き室を一定期間活用することが考えられます。
3.住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化
- 先述のように令和6年3月末時点で居住支援協議会を設置している市町村は100市区町です。市区町村による居住支援協議会設置を促進(努力義務化)し、住まいに関する相談窓口から入居前・入居中・退居時の支援まで、住宅と福祉の関係者が連携した地域における総合的・包括的な居住支援体制の整備を推進します。
- 居住支援協議会と、生活困窮者自立支援法に基づく支援会議・地域ケア会議 (高齢者)、自立支援協議会 (障害者)・社会福祉法に基づく支援会議・地域住宅協議会 (公的賃貸住宅) との相互連携を明確化します。