住宅セーフティネット法の改正と身元保証サービス

 住団連 成熟社会居委員会 講演より

 

(3) サービス付き高齢者向け住宅について

 サ高住登録状況は、令和6年3月末時点で、戸数287,151戸、棟数8,294棟です。近年は登録件数増加割合の鈍化がみられます。
 専用部分の床面積は、25m²未満が78.8%と大半を占めています。平均は21.9m²です。
 要介護高齢者の入居割合は、令和4年度厚労省調査で自立高齢者は11.0%と少なく、要介護3以上の高齢者がおよそ3分の1を占めています。
 入居率は、都心では高い率となっていますが、地方では令和4年度で空き室およそ2割のところがあります。
 高齢者生活支援施設については、令和5年8月末時点で、75.0%のサ高住で高齢者生活支援施設を併設又は隣接しています。併設施設の種類は、通所介護事業所 (41.1%)、訪問介護事業所 (40.7%) が多くなっています。
 国はサ高住供給促進のため、建設・改修費に対して、国が民間事業者・医療法人・社会福祉法人・NPO等に直接補助 (スマートウェルネス住宅等推進事業) を行っています。補助期間は令和7年度までですが、来年度の予算要求が想定されます。また次年度以降のサ高住供給促進税制 (固定資産税・不動産取得税) についても検討します。
 都心部では広めのサ高住のニーズが見られるようになっています。高齢者の自立や健康寿命に対するサ高住のあり方についてもエビデンスが積み重ねられています。国としても、実態分析を行ってまいります。

(4) 障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブックについて

 近年、バリアフリー法の改正や建築設計標準の見直しが行われるなど、建築物のバリアフリー環境の整備に向けた取組が進められている中、賃貸の共同住宅についても障害者が居住可能なバリアフリー環境の整備に向けた取組が求められています。
 このため、学識経験者や障害者団体、住宅の設計又は供給に係る団体から構成される検討会・WGによる、障害者が地域において自立した生活を送ることを目指して、住宅の設計における具体的な配慮事項の検討を実施し、令和6年6月「地域で自立して居住することを目指してー障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブックー」を策定しました。
 障害やADLは様々で一律の基準を設けることが難しい中で、検討会では、介助の有無は「車椅子の移乗・移動に介助が必要か」と位置付けることがよいのではないか、まずは自立の手動車椅子使用者を想定した方がよいのではないか、電動車椅子もコンパクトなものがあるので、検証を行った上で、整理すべきではないかといった議論が行われました
 そこでハンドブックの主な想定居住者は、建築上特に物理的な配慮を要する車椅子使用者として、検証実験及びヒアリングで得られた結果等から、障害のある人も地域において自立して単身で生活することができる住宅を設計する上で必要な基本レベルの水準と配慮事項、配慮事項の事例を整理しています。基本レベルは、建築コストや居住者の費用負担を踏まえた水準としています。
 ハンドブックはホームページで公表しています。今後、様々な機会を通じて、設計者・事業者や公共団体などの方々に広く提起したいと考えています。
 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001751893.pdf