デンマーク第四の都市であるAalborg(オルボー)で、「未来のプライエム(ナーシングホーム)」としてつくられている高齢者住宅をご紹介します。
川沿いの白い建物がこの「未来のプライエム」です。
こうしたプライエムが供給されている背景にはデンマークが抱える問題があり、これは日本と似通ったものです。
1. 現在は高齢者(64才以上)1人に対して労働人口4.5人。これが2035年は高齢者1人に対して労働人口 3人になるとされています。
2.
高齢者が増えることで公的サービスが高まる一方で、働き手が不足してきます。
3.
今後の高齢者は、ものが豊かな時代に育っているため、要求が多様化、且つ、高度化していると考えられます。
この未来の高齢者住宅とは、こうした問題に応えるために、次の3点が試みられています。
1. テクノロジーを活用すること
2. ルーティンワークによる負担を減らすこと
3. 働く人にとって 職場を魅力的な場所にすること
このプロジェクトは2008年にディスカッションがスタート、2012年3月に建物工事が始まり、2014年に入居開始となりました。
・延床面積は8000m²以上で、3つのブロック(アパートメントエリア・ パブリックレストランエリア・スタッフエリア)で構成されています。
・階数は3階建て、一部5階建てです。
・設備としては、キッチン、ライブラリー、ホール、フィットネス、多目的室、歯科医院、外部からも利用可能なレストラン、IT
café、バーチャル受付システムが備えられています。入居者にはタブレットが渡されるのですが、タブレットの使い方のよく分からない高齢者はIT
caféで使い方を教わることができるようです。外部の方もIT caféにタブレットなどを持ちこんで相談できるようです。
・個室料金は、79m²:73部屋 前金67.2万円+(家賃13.5万円+光熱費)/月
89m²:
・2部屋は 前金73.0万円+(家賃14.7万円+光熱費) /月 ※共有スペースの利用も含まれた料金と大変安いものです。
この安さの背景は、デンマークは高福祉高負担の国で、消費税25% 直接税50%ですが、ここから福祉にかける費用がまかなわれていると考えられます。
共用部分はそれぞれ特徴的なインテリアが施されていますが、これは高齢者が認識しやすいようという配慮の他に、人を自宅に招くためにインテリアを重視するというデンマークの国民性が現れていると思われます。