講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』



1.DIYを取り巻く状況
松村:  つい先ほどまで、馬渕さんのご自宅でお話しを伺ってきたところです。その馬渕さんからドイト所沢店の高山さんをご紹介頂いたわけですが、今度はホームセンターの立場から見たDIYの実状をお聞きしたいと思います。

最近ではNHKの趣味講座でDIYが取り上げられる程ですから、商品を購入される客層や商品自体に変化が生じているのではないかと思います。また、高山さんご自身もDIYアドバイザーをされていると伺いましたが、求められるアドバイスの内容も随分変わってきたのではないかとも考えています。具体的にはどのような変化が生じているのでしょうか。
高山: 
ご存知の通り、DIYは日本より欧米の方が盛んです。しかし、日本でも余暇が増えてきたからでしょう。日本のDIYも徐々に裾野が広がってきた印象があります。また、商品を提供するメーカーや業者さんも、今まではプロの方を向いていましたが、私共のような店ができたことによって、一般の方に向けて説明書をつけるようになりました。例えば、最近では便器や部品だけにも説明文が付いています。

高山和夫さん
また、道具類について言えば、刃物が大きく変化しましたね。鋸やかんな、ノミの刃がカートリッジ式になった商品が出ています。こうした道具ですとメンテナンスなしですぐに使えます。
(右写真:替刃式のノミ)
松村:  このホームセンターには、プロも素人さんも両方とも商品を買いに来られますか。
高山:  両方いらっしゃいますが、どちらかというとプロの比率の方が低いと思います。コンビニのレジなどでは購入品と合わせて客層データを入力していますが、私共ではそういったシステムが徹底されていないため詳しいことは分かりません。

また、一般の素人さんと専門の方の中間に、いわゆる「便利屋さん」という方々がいらっしゃいます。暮らしの110番とか、住まいのホームドクターとか、そういった方々ですが、服装が一般の方と変わらないため見分けがつかないのが現状です。ただ、他のホームセンターに比べますと、当店はご商売をされているお客様がやや多いかとは思います。
松村:  例えば10年前くらいと現在を比較した場合、お客様や品物に関する目立った変化となると何になりますか。
高山:  増えているお客様といえば、一般の女性です。仕事の内容は随分広いようでして、手軽にやられる方としては、カラーボックスや収納などがよく売れています。特に、気軽に買える物ですと外国のデザインで一味違った商品が人気です。台所用品で言いますと調味料入れを整理できる収納棚などがよく売れています。園芸にしましても食卓にお花が乗るようになってきましたね。また、かつての園芸ですと自分で楽しんでいたものでしたが、今では住宅の道路側に置いて通行人も楽しめるような園芸が盛んです。
松村:  DIYが継続的な趣味になっていると思われるお客様はおられますか。
高山:  どこまでをDIYと呼ぶかにもよりますが、例えば電球を取り替える作業や、汚れたものをきれいにする行為などもDIYと見るなら、継続していらっしゃる方は増えてきたと言えるかと思います。


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