講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


(西川祐子さんプロフィール)
1937年、東京生まれ。京都育ち。京都大学大学院文学研究科博士課程(フランス語フランス文学専攻)修了。パリ大学大学博士。博士論文はバルザック(藤原書店のパルザック全集第三巻「十三人組物語」を翻訳されている)。現在、京都文教大学人間学部教授。専攻は日本およびフランスの近現代文学、ジェンダー研究。方法論の基本はテクスト分析で、小説も読めば広告も読んでしまうし、そのうち建築の設計図も読むようになったとの御説明。女性史・比較文学の視点から歴史を捉え、伝記作家としての仕事として『高群逸枝 森の家の巫女』(新潮社、1982年、第三文明社、1990年)、『花の妹 岸田俊子伝』(新潮社、1986年)、『私語り 樋口一葉』(リブロポート、1992年)の著作もある。

西川祐子さん
講演「男の家→女の家→性別のない部屋→次世代的な部屋の集まり方」


 
1.はじめに

自己紹介
本プロジェクトとの接点

2.日本型近代家族と住まいの変遷の4大特徴

特徴1.実態よりモデルが先行
特徴2.住まいモデルの2重構造、2重帰属モデルの繰り返しによる微調整
特徴3.日本型近代家族のキーワード=家庭
特徴4.モデルチェンジ伝播の速度と徹底度

3.ライフスタイル調査への西川図式の応用

4.質疑応答と討論





1.これまでの活動

・自己紹介
 私は現在、ジェンダー研究を専攻し、京都文教大学人間学部文化人類学科に所属しています。 著書のなかに『借家と持ち家の文学史−「私」の器のものがたり』(三省堂、1998年)と『近代国家と家族モデル』(吉川弘文館、2000年)があります。
 日本型近代家族とその容器としての住まいについて考察した上記二冊の本を書いた後、建築と都市計画のシンポジウム、研究会、専門雑誌からお誘いをうける機会が増えました。「ニュー・ニュータウンの住民へ」(第20回住宅総合研究シンポジウム「20世紀から21世紀へ−家族・住まい・コミュニティの未来」委託論文)、「部屋の文化研究」1〜8(『10+1』、INAX、2000〜2001年)などがそういった機会から生まれた仕事です。「私の居場所/居方」(『思想』2001年6号「公共圏/親密圏」特集、岩波書店)では、事例研究のまとめを試みました。
 また、昨今の私の関心は住まいから都市へと移り、日本各地のニュータウンと海の向こうのニュータウンのフィールド調査を行っています。文化人類学者、社会学者たちと、建築家と都市計画の専門家、それに私が集まり、研究課題名「ニュータウンにおけるジェンダー変容」(科研基盤研究C2研究代表者:西川祐子)という共同研究を行って3年になろうとしています。

・本プロジェクトとの接点
 今日は、ここまでとその後、の話をすればよいのでしょうか。「男の家→女の家→性別のない部屋」は、わたしが書いた論文の題の一つなのですが、これに「次世代的な部屋の集まり方」と付け加えてみました。つまり今日の報告は、ジェンダー研究の視点から日本型近代家族と住まいの変遷を記述した上で、近未来の住まいとまちを考えようとするみなさんのプロジェクトに合流する意図で組み立てました。本題に入ります。


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