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鈴木: |
住民が作り出した価値を共有するような役割を、グリーンベルト・ミュージアムは多少担っていると思います。ここで我々が行った調査も簡単に紹介したいと思います。昨年75周年を迎えたグリーンベルトは成熟期に入っています。そうした町でどの様な活動が生まれてきたのか、住民委員会や社会集団のようなものの出現を時系列で追ってみると、1986年以降にグリーンベルト・ミュージアムやニューディールカフェなどの興味深いものが出来てきています。
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松村: |
話の腰を折るようですが、ミュージアムやカフェといったものは、住宅地の経過年数に応じて現れたというより、時代的な産物かも知れませんよね(笑い)。
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鈴木: |
特にカフェなどはそうかもしれないですね。いずれにせよ、こうした場をつくる動きが昔からあったわけではなくて、大規模修繕の完了後から環境を良くしていこうという動きが生まれます。我々のヒアリング調査によればカフェやミュージアムは、住民が価値を共有していくためのブランディング・ツールとして機能しています。例えばミュージアムではグリーンベルト75周年に合わせて、開発当時の女性の暮らしを再現するパフォーマンスが行われました。我々の感覚ではミュージアムがあるだけでも感心するわけですが、そこを使って歴史を踏まえたイベントを行っていることに感銘を受けましたね。
もう一つ印象深い例としては、駐車場を使って毎週日曜に開かれる「ファーマーズ・マーケット」があります。若い女性二人のカフェでの会話が発端となって、コウオプのスーパーや市に話を持ちかけ、自分たちで運営組織を迅速に作って実現してしまった。何もグリーンベルトに限定される現象ではありませんが、ある特定の活動に対して意欲的な人がいると、そのための組織が比較的容易にできてしまう。
それと「グリーンベルト・ニュース・レビュー(http://www.greenbeltnewsreview.com/)という住民が編集する非常に充実した地域新聞があります。古典的な媒体ですが、毎週木曜日に発行され、住民が町で行われている様々な活動を知る媒体としてうまく機能していると感じました。
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松村: |
日本でエリアマネジメントに関わっている若い人達に聞いてみても、何かやろうと思ったらすぐに組織を作っていますよね。
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鈴木: |
最近は街中ではそうでしょうね。でも住宅地ではどうですかね。自治会などの地域との関係がありますから。
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松村: |
新しい取り組みのための組織づくりに馴れているかどうかでしょうね。確かに日本の住宅地にはある慣習的ルールがありますが、これからは新しく入った人が新しい何かを持ち込んで行くことが必要なんだろうと思います。グリーンベルトでも、ファーマーズ・マーケットの発案者などは新規住民なんじゃないんですか。
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