講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


10.大家としてのノウハウ
丸橋:  入居者の選択は難しいですよ。斡旋業者は入居させたらお金になるから、入居者に問題があっても隠して入れようとする。それを見抜くのが大変です。断った方がけっこういます。ちなみに、今、13室のうち2室が空いていますよ。
松村:  私たちは借りるほうだからなあ…
丸橋:  失礼と感じるようなことまで聞かれるくらいが、良い大家さんです。つまり入居者の質がよくなるのです。私のところも、会社の証明書を取ってくれとか、親の証明書を持ってきてとか、色々と要求します。すぐに契約したい、というのが一番困ります。書類を見て審査をして契約するかどうかを決めますのでその時間はかかります。今までこのような感じでやってきて、余り困ったことはありませんね。
鈴木:  そうしたノウハウは、どこかで教わったのですか?
丸橋:  性格かな(笑い)。人を見る目が用心深いんでしょうね。仕事の延長のようなものかもしれません。仕事でも、下請けなどとたくさんの人との関わりがありますが、その人がちゃんとやってくれる人かどうかを見極めなければなりませんから。

また、入居者の選び方として、生活の時間帯をずらさないようにしています。ですから、学生は入れません。新築のときから18年間ずっと住んで頂いている方もいます。
鈴木:  私も10年ほどになります。
丸橋:  このマンションでは住民同士の仲も良いです。これは防犯の面でも良いですよね。
鈴木:  お互いに挨拶もあるし、おすそ分けなども盛んです。大文字送り火の夕方は、屋上のテラスのパーティにご招待いただいています。
丸橋:  みんなで遊ぶ感じですよね。
松村:  例えば、東京の神田などでは、ビル経営をしているだけで、ビルオーナーの多くは遠くに住んでいます。そのため、ただのビル街になってしまったんですが、ここでは自分も住んで仕事を続けている方が多いですよね。やはり、仕事をする場所と住む場所は近いのが当たり前という感覚があるのでしょうか?
丸橋:  少なくとも、うちはそうでもありません。どちらかといえば、お得意さんは他府県が多いですし、京都駅に近い方が商売としては良いかもしれないと思うこともあります。便利な場所だと配達してもらいやすいですし。
松村:  下請けさんもこの辺りに集まっているのですか?
丸橋:  いいえ、西陣から北のほうに集まっています。でも京都の中なので、往復で一時間以上かかるところはそんなにありません。



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