講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


2.京都での生業
丸橋:  ここで商売をするからには、京都という看板を背負っている。地方から来た人が商品を見た時に、さすが京都、と言ってもらえるようでなければなりません。お客さんは、本当のことは分からなくても、京都で見た品物は京都産と思ってしまいますから。例えば、京都だと売れるという理由で、九州の業者が京都に店を出していることもあります。それで品質が京都のものと違うものになる事もありますが、それでも売れるんです。

もちろん、物の値打ちは色々な計り方ができますから、良いものを買いたいのか安いものを買いたいのかによって買う場所が違うわけです。職人さんに頼む場合でも同様のことが言えます。職人さんが、良い物で作っておきます、と言ったとしても、そもそもその職人さんのレベルによって品質は違うわけです。

ですから、私たちがお客さんとの間に立ってお客様の要望をお聞きして選択することが、大切な仕事の一つではないかと思います。
松村:  このお仕事はいつ頃から続いているのですか?
丸橋:  明治の終わりから続いています。戦前までは袈裟にする金襴を主に扱っていました。その後、神社の品物も扱うようになり、今ではほとんど神社の物を扱っていますね。寺もできるんですけど、そうなると人に色々と聞かなければならない。手間がかかりますので、あまりしません。



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