- マッチングアプリがあるとやっぱりいいねという意見の反面、やはり顔が見える関係での貸し借りをしたいという意向がありました。
- 貸し手側のユーザビリティを高めるために操作への配慮が必要になります。また顔が見られる関係での貸し借りへの配慮として、物件登録者はその公開範囲を借り手側居住地で絞ることのできる機能などが考えられます。その際、借り手側もより詳細な情報を得るために居住地を含む詳細な属性情報を登録することで貸し手側の心理的なハードルを下げる工夫も必要と考えられます。
- さらに、マッチング後の対応についても第三者がコーディネートした上で対面での賃貸や売買の条件確認が必要と考えられます。特に短期で賃貸をする場合は、その条件について双方しっかりと確認する必要があるため対面でのコミュニケーションが大切であると考えられます。
4) まとめ_今後の課題
①貸し手・借り手の不安払拭:空き家を所有する方の意向は今回の調査では明確に把握することはできませんでした。しかし仮に空き家または空き家予備軍の所有者が高齢者であるとすれば、空き家・空きスペースの利活用に積極的な印象はなく、またその活用のためのツールの一つになり得るマッチングアプリ活用についても不特定多数に貸すことへの不安が散見されます。そのような貸し手側の不安や活用への心理的ハードルを払拭するために「大学」が法人として借り学生を住まわせる方法や、NPOや任意団体の活動拠点などに利用する等、身元の明らかな団体での活用が考えられます。また、お試し居住といった、借り手側の不安を払拭する取組みも必要と考えられます。
②地区計画変更と空き家活用の試行・検証:今回の調査では借り手側に活用の意向が一定数みられましたが、その用途においては武蔵台では地区計画上多くのエリアで、ショップ、カフェ等、空き家利用を希望する用途での使用が制限されています。今後住宅用途以外の用途での活用も検討するにあたり地区計画の内容を見直すことが必要と考えられますが、地区計画の変更には準備や内容検討に時間を要するため、地区計画変更の作業にかかる前に暫定的にショップ、カフェ等での活用を試行し、検証を行う必要があると考えられます。またそれを可能にする制度の創設が望まれます。
③早めの相談:空き家利活用についてアンケートの結果具体的な「活用意向がない」「わからない」という回答が多数でありました。所有する住宅について継受や売買等の意向を所有者やその子、親類で早めに相談する必要があります。そのための相談窓口としての機能を創設する必要があることと、仮に空き家になる場合、暫定的な活用手段などについて広く知らしめることが重要であると考えられます。