こま武蔵台 (埼玉県日高市) の再生に向けた取組
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻まちづくり研究室特任研究員
つなぐ暮らしの設計室代表 石塚禎幸氏
戸建て住宅団地のこま武蔵台では、東京大学、(株)東急不動産R&Dセンターや地域の方々による再生活動が進められています。2024年度は、こま武蔵台の魅力とその発信を共に考える多世代交流会や、空き家利活用の調査・検討が進められました。今後の展開としては、多世代交流の企画や場づくり、SNS等による情報発信、空き家貸し手・借り手の不安払拭、地区計画変更と空き家活用の試行・検証、アプリと対面コミュニケーションの両面による空き家マッチングなどが考えられます。
(1) こま武蔵台の概要
こま武蔵台 (武蔵台1丁目〜7丁目) は埼玉県日高市内西部、多峰主山の北側丘陵地に位置する、約93haの戸建て住宅団地(一部はタウンハウス)です。最寄り駅である西武池袋線高麗駅から最も遠くて約1.5kmで、高麗駅から池袋駅まではおよそ1時間でアクセスできます。
周辺には西川材の産出地や、曼珠沙華の群生で有名な巾着田、日和田山、高麗川など、豊かな自然環境があります。
1977年から1987年にかけて、東急不動産株式会社が開発 (事業手法:旧住宅地造成事業に関する法律による許可) しました。
2020年国勢調査における人口は4,570人で、2015年国勢調査での5,011人から減少率8.8%となりました。世帯数は2,019世帯で、2015年国勢調査での2,097人減少率3.9%となりました。2020年国勢調査における65歳以上人口比率は51.1%です。
主に第一種低層住居専用区域が指定されています。生活拠点施設地区 (ショッピングセンター) とタウンハウス街区は第一種中高層住居専用地域に指定されています。さらに地区計画によって敷地面積の最低限度などが定められており、ゆとりある住宅地が形成されています。
(2) こま武蔵台の活性化活動
2015年9月に東京大学と(株)東急不動産R&Dセンターで「郊外住宅地における安心居住支援に関する知見の獲得」を目的とした共同研究契約が締結され、以降、地域住民の方々を中心に、した、こま武蔵台活性化の取組が進められています。取組の内容は、まちづくり勉強会、多世代交流・子供の居場所づくり・空き家対策・定住移住促進の実証・実験などです。大学の演習をきっかけに学生たちが提案した空き家リノベーションやコワーキングプレイスづくりが、(株)東急不動産R&Dセンターの出資で進められました。
また、げんきネット武蔵台は、こま武蔵台自治会と密接に連携して、行政との関係も構築しながら地域活性化活動を企画推進することを主たる目的とするNPO法人 (2020年認証) です。ショッピングセンター内のレンタルルーム運営や、シェアキッチン事業、モーニングサロン事業、コワーキングプレイス事業、農園活動などを進めています。
他にも、日高都市ガス、つなぐ暮らしの設計室、どんぐりcafé、チームわくわく、Cawazなどが、げんきネット武蔵台と連携して、地域活性化活動を進めています。
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