講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


6.低密度住環境の記憶
田辺:  日だまりファームに面した四阿(あずまや)は「AURAハウス」と名付けています。普段は菜園利用者が使っていますが、たまむすびテラス全体の要に位置するので様々なイベントにも使えるようにしています。まちびらきイベントもここで行いました。

お隣のりえんと多摩平の方までケヤキの樹が生えている様子が見えると思います。多摩平団地の頃からケヤキ広場と呼ばれていたオープンスペースです。何本かは仕方なく切りましたが、たまむすびテラス全体の環境を考えてできるだけ残すようにしました。

ただ、その東側の隣地に何が建つのか心配ですね。今は空き地なのでうまい具合に開かれていてとてもいいのですが…。商業と住居の入る施設になると伺っていますが、このまま原っぱで残ってくれるといいんですけど(笑い)。
松村:  この周辺には団地の建替え計画によって空き地がたくさん生まれましたが、日野市のマスタープランもありますから、高さはかなり制限されるようですね。URがうまく調整してくれることを期待したいところです。

もっともそうした空き地の利用方法にはURも困っているそうです。たまむすびテラスの隣地について言えば、商業ゾーンにするには駅から遠い。じゃあ建替えをしなければよかったのかというと、昭和30年代竣工の建物は全て建替えるという方針で団地住民と合意形成を図ってきた経緯もある。おそらくこの敷地の利用方法として一番いいのは、戸建住宅地にすることじゃないですかね。これまでのように密度を上げるばかりじゃなく、場合によっては密度を下げていくことも考えて行く必要が出てくると思います。
鈴木:  確かに容積を使い切らない開発例も増えていますね。高齢者夫婦が住む2階建てを1階建てに建替えるという取り組みもありますしね。この広々とした雰囲気は貴重ですし、今後の住宅地開発、団地再生の大きなヒントになる形式を含んだ重要なものだと思います。



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