講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5. HITOTOWAのビジネス
松村:  まちにわひばりが丘は、2020年から住民主体の運営に移行したとのことです。HITOTOWAのビジネスとは直接的な関係はなくなったのでしょうか?
荒:  現在16人の社員がいて、その中の一人が監事として関わっています。時々、彼などが理事会の相談に乗ったりしていますが、HITOTOWAのビジネスとしては関わらないようにしています。
松村:  荒さん一人で始めたHITOTOWAが、10年ほどでそんなに社員を雇うようになったわけですか。ビジネスの柱は何になるのでしょうか?
荒:  主な事業は、ディベロッパーや行政から受託するネイバーフッドデザインです。エリアマネジメントやマンションのコミュニティスペースの企画などに取り組んでいます。現在は関東の1都3県に大阪・兵庫を加えた6都府県で活動をしています。社員が常駐するものからアドバイザー的に通うものまで関わり方は様々でして、20〜30件くらいのプロジェクトが動いています。それ以外の地域も挑戦してみましたが、住民と仲良くできることが重要なので、通いづらさはネックになります。
松村:  競合他社はあるのでしょうか?
荒:  何社かあります。一時期ブームがあって、同じような活動に取り組む会社が現れましたが、多くは撤退してしまいました。基本的に終わりのない仕事なので、工数をかけようと思えばいくらでもかけられます。大きな会社のビジネスに合わないところがあるのだと思います。最近は、他社でうまくいかなかった案件の相談も増えました。もちろん自分たちも毎回うまくいくわけではありませんが…。
鈴木:  これまで研究者がいくら言っても実現できなかったことを、HITOTOWAは実現していると感じます。実際、著書『ネイバーフッドデザイン』を拝見して、実践者が持っている説得力はやはり違うと思いました。「担い手」を見つけるといった言い方を研究者はしがちですが、こうした言い方をしていない点も印象的でした。



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