講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


7.居住者インタビュー3:当別田園住宅での暮らし
松村:  日常生活では食料品や日常品などの購入も大切ですよね。それまでとは、お店までの距離は当然違うと思いますが、購買パターンは大阪にいるときと同じようなものですか?
岡田:  それは一緒です。共同購入じゃないけれど、生協的な戸別配送サービスがありますよね。もともと大阪でも利用していたので、多くはこちらでもそういったところに食料を頼んでいます。やはり、慣れ親しんだ生活スタイルから逃れることは出来ないんでよね。でも、食材が少し違っていて、向こうにあるものがこちらで手に入らないものもある。自分に身に付いた生活を守りつつ、こちらのスタイルに合わせて行こうと思うんですけれど、食べ物の違いというのは結構キツいです。
松村:  でも、日本は日本ですからね。
岡田:  東京の方はそうおっしゃる。なんでもありますから。
鈴木:  関西で普通に買える食材が手に入らないということですか?
岡田:  そうです。一例を挙げると「うすあげ」がありますね。関西では日常的に食べるものですが、手に入らないので驚きました。
鈴木:  少し前のことですが、うどんすきの材料は、関西だと普通に買えるのに、東京ではどれも手に入らないという話を聞いたことがあります。そういうことがあるわけですね。
西田:  先ほどからこちらの家におじゃましているわけですが、外の音や寒さが気になりませんね。家の質と言いますか、空間の良さと言いますか、そういうものがずっと住み続けられる理由の一つになっていくような気がしたんですが、こうした家にして良かった点をお聞かせ下さい。
岡田:  友人達が遊びに来た時の話ですが、ちょっと席を立つとリビングの床の上で寝てるんですわ(笑い)。部屋が暖かいこともありますが、それだけじゃないんですよね。外をじっと見ていると、何にも無いようですが、向こうの国道を車が通ったり、JR札沼線を1両のディーゼルカーが1時間に1本くらい走ったりする。どうも、そういうのを見ていると、ポワーンと緩んでしまう。そうした不思議な快適さはあるんでしょうね。
鈴木:  今日、大阪から来ましたが、北海道の建物は窓が小さいと思いました。でも、この家はもの凄く開放的でのびやかですね。
岡田:  南面にこれだけ開口部がありますから。今はもの凄く気に入っていますが、大阪のマンションから越してきた時は、何とも違和感がありましたがね。落ち着かへんのですわ。設計者は窓の高さをもう20cm大きくしたいと言っていたんです。手が届かないから困る、と言ってこの高さに落ち着きましたが、それでも大きいですよね。
鈴木:  ホール型リビングも特徴的ですね。作業デスクも備え付けのようですが、インテリアについてもかなり希望を出されたんでしょうか?
岡田:  この家を建てる前に病気をしたこともあって、できるだけ身体に負担の無い素材で、というお願いはしました。基本的には、大阪と北海道の間で文書などをやり取りしましたが、設計者が大阪に出張された時、当時の家の中を見て頂きました。見ればわかるじゃないですか、どういう生活をしているか。こうしたCD収納は前の家にも作りましたが、そういったスタイルを取り入れて下さいました。
松村:  街中のマンション暮らしも物騒ですが、ここでは別の不安を感じませんでしたか?例えば、周りは塀もないし、人が通ったら丸見えですよね。
岡田:  最初はそうでした。家を建てた時は大阪と行ったり来たりだったので、不在の時が心配でセコムを付けました。でも、だんだん気にならなくなりましたね。夜になると周囲は真っ暗ですが、家の中にいれば怖いことはありませんから。暗くなったら外に出なければいいんです。考えてみれば、当たり前のことですがね。
西田:  街灯もなさそうですよね。真っ暗ですか?
岡田:  そのかわり満月になったら明るい。白夜みたいになってますもん(笑い)。



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