講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.居住者インタビュー1:田舎暮らしを組み立てる
松村:  大阪でのお仕事を途中リタイアして、こちらに越してこられたそうですが、時間の使い方が全く変わったりしましたか。
岡田:  こちらに引っ越してからの生活とそれまでの大阪での生活とでは、忙しさの内容は違いますがこちらの方が忙しい。家内の手帳なんかは真っ黒ですからね。僕も彼女ほどじゃないですが、春から秋までは畑と庭の手入れに追われる感じです。
松村:  当別に来て完全に環境が変わったわけですよね。それがきっかけで、今までやったことのない事を始めたりしましたか?
岡田:  それはありませんが、庭のベリー類でジャムを作ったりしますね。それと畑もすることになりました。当初は、特別なことを始めようという気持ちはなかったんです。まあ、土地があるので数坪くらいは家庭菜園をしようかなくらいは思っていましたが…。

実は畑をしようなんて、考えていなかったんです。ところが、これだけの広さがあると、草を生やしておくのはみっともない。何とかしようと思うと畑しかありませんよね。でも、畑のノウハウを全然持っていませんから大変なんです。雑草の生命力ってのは半端じゃない。草を抜いても一週間経ったら元の木阿弥って感じです。気にしなければそれでいいのかもしれませんが。
松村:  これだけの広い敷地だと大変なことですよね。
岡田:  敷地は500坪くらいありますが、畑にしたのは半分くらいです。実際は、私がやったんじゃなくて、近くの農家の方にトラクターで耕してもらいました。この辺りの感覚では畑と呼べるような規模ではないかもしれませんが、家庭用の耕耘機では手に負えないんです。

ここに決めてから暮らすまで2年間あったので、私なりに思い描いていたイメージがあったんです。例えば、家の前に芝を張って、少しはトマトなどの家庭菜園をしようと。でも、暮らしてみて実現手段を持っていないことを思い知らされた。これが一番恥ずかしかったことですね。体力は無い、知力は無い、どうしていいものか。だけど一日一日が過ぎて行く。草は生えてくるし、動物も出てくる。雀蜂がブンブン飛べば、ストレス溜まりますよね。結局、少しずつ自分の生活を積み上げていくしかない。これはどこに住んでも同じでしょうけど、都会以上に農村は時間がかかりますね。
松村:  畑では何を育てていらっしゃるんですか。
岡田:  ちんまりした畑ですが、芋や豆やタマネギやら自分で食べる為のものです。



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