講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


6.居住者インタビュー2:移り住んだあとは
鈴木:  住まい方とライフスタイルの関係について様々な方に話を伺っていてきましたが、今までで一番はっきりしているライフスタイルのように見受けられます。この住宅を作ると決めて一番重視されたのは、どんなことですか。
岡田:  一番重視したのはここの裏山の風景でしょうか。秋はすばらしいんですよね。移り住む前ですが、たまたま敷地の前の国道275号を走ったことがあって「わぁ、いいなぁ」と思ったのが第一印象でした。それまでも北海道にずっと住みたいと考えていて、旭川とか函館あたりに行こうかとも思っていたんです。でも、この裏山の景色と出会い、辻野さんを含む当別の方々とも知合いになって、こちらを紹介して頂きました。見知らぬ地にポッと行くんじゃなくて、あらかじめ何人かの知合いがいればそれだけでも心強いですから。
松村:  誰も知らないところに引っ越すのは大変ですよね。
岡田:  ある意味無謀とも言えますね。家を建てるにしても移住するにしても、それなりの費用がかかるわけですから。いい話ばかりじゃないんです。私達と同じようにこちらに来てはみたものの、戻った方もたくさんいらっしゃいます。厳しい面もあるということもご理解頂きたいですね。
松村:  まあ、夫婦の間には住む場所とは別のこともあるでしょうし(苦笑)。
岡田:  北海道の各市町村が移住促進策を進めていて、いいことばっかり言っているように思えます。移り住んだあとのサポートはどうなのかな・・・ということです。また厳しい面を強調するようですが。
松村:  来る時まではものすごい歓迎ムードでも、来てみたら…。
岡田:  四六時中、面倒みれるわけはないですから。
鈴木:  でも、ここでは辻野さんが面倒を見てくれる、というわけですか。
岡田:  ええ。これからの期待も含めてね(笑い)。

ここに暮らして改めて思ったのは、当別田園住宅プロジェクトと北海道の自治体が進めている移住政策は、やはり違うということです。当別田園住宅は家の住み替えという感じがありますが、移住といった場合、それまでの生活から色々なことを断ち切る感じがある。人間関係とか仕事とかをね。
松村:  なるほど。ここに越してきた方々は、それまでの仕事を続けていたりするわけですね。また、子育て世代も結構いらっしゃる。引越しみたいな感じの方と、生活の全てを変えて来られた方と、どちらが多い印象でしょうか。
岡田:  ここに越して来られた理由をお聞きしたことはありません。みなさん、それぞれのご事情があるでしょうから。ですが、大きく括れば、当別田園住宅の主旨に共感したという点では共通していると思います。私もその一人です。
松村:  当別田園住宅に住んでいらっしゃる方々同士で、近所付き合いみたいなものはあるのでしょうか?
岡田:  日常的に行き来はしています。向こうからも遊びに来ますし、私達からも気楽に行きます。
松村:  そうした近所付き合いは、辻野さんの田園住宅にお住まいの方々だけですか。それとも、この地域の農家の方々とも交流があるのでしょうか。
岡田:  個別にはみなさん、私もそうですけれど、ご近所の農家とお付き合いされています。ただ、田園住宅地全体として農村地帯に受け入れて頂くには、まだ3〜4年ですから十分ではないでしょうね。



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