
 |
 |
 |
佐藤: |
Web連載を読み返して思ったんですが、女性のお話の方が印象深い感じがあります。
|
 |
松村: |
リアルなんですよ。建築の専門ではないある女性から高断熱住宅の必要性について熱く語られたことがあります。とても面白かった。時間は断熱で買えるって言うんです。断熱性が上がると、例えば結露の掃除が不要になったりする。睡眠も質が上がる。女性が子育てしながら仕事をして、家事をきちんとこなそうとしたら、必要なのは時間なんですね。だから、そうした暮らしやすさというか時間をかけなくて済むようになったことが、非常に価値を持っているという。これまでこういうリアリティのある断熱論を聞いたことはありませんでした。
こうしたリアリティが、私のような男にはどうにも出せない。「グローバルな資本主義の観点からは、…」なんて言っちゃったりする。もちろん、こうした物言いに違和感を感じたりもするけれど、そうした世界を築いてきたのが自分たちだから、そう簡単には抜け出せない。でも女性の実感が表に出てくる場面では、よりリアルなすまいの姿が現れてくる。そうした場面が、地域だったり子育てだったりあるいは生業だったりするのかもしれません。
|
|