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松村: |
うちの大学のある文京区本郷に昔からあったお店はほとんど消えてしまいました。戦災を免れていて大学もある特徴的なエリアなのに、後継者がいないから全国チェーンの店ばっかりになっちゃった。だから、自営業を親子でつないでいけないことも確かなんです。
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鈴木: |
連載初期に西川祐子先生に講演していただきましたが、確か町家の継承について触れられていました。地域の財産である古屋を借りて他人の記憶を引き継いだらいいんじゃないかと言っておられたと思います。自営業も子供以外の継承を考える必要がありますね。
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松村: |
やっぱり、やる気のある人が集まってこないと町の将来は厳しい。もちろんチェーン店の店長だって頑張っているけれど、例えば3ヶ月とか半年とかいった短い期間に成果が出なかったら本部が撤退を決めてしまうような仕組みがある。だけど自営で商売を始めたら、すぐ撤退するわけにはいかない。
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鈴木: |
最近、鉄道会社の委託で、駅舎利用の調査をする機会があったんです。調べてみると、駅舎を地域で運営する取り組みが結構進んでいる。奈良県のある駅の場合、町の自営業者がNPOの中心となっていて、センスの良いカフェを運営し、広いネットワークを使って意欲的なイベントを企画しています。そうした事例を見ていると、やはり商売をしている人は町に対する真剣味が違うなと思いました。
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