人口減少/少子高齢社会における
イノベーティブな次世代まちづくり

(4) まちづくりのアプローチ

① コミュニティを起点とするアプローチ

 私がまちづくりに重要なことと考えていることは、新しい未来を多様な世代で創造していく、「共創」のアプローチと、コミュニティを起点とするアプローチです。高齢化にしても社会的包摂にしても子育てサポートにしても、個人や企業も一定の役割を果たしますが、それだけではなかなかうまく進められず、地域社会の役割というものがより重要になります。地域包括ケアについても、そのオリジナルであるコミュニティケアという視点に立ち返った発想で考えることが必要です。

② プレイスメーキング

 プレイスメーキングという言葉を皆様もよくお聞きになっているかと思いますが、空間・スペースに社会的意味を持たせることでプレイスをつくる取組みがまちづくりには大事です。それは1か所のプレイスをつくるのではなく、プレイスメーキングを積み重ねて地域を再生するアプローチです。例えばアメリカのヤングスタウンのような縮退傾向の都市では、衰退しているエリア内の生きている場所を手掛かりにしながら、プレイスメーキングを重ねてエリア再生を進めています。

③ リビングラボ

 最近はリビングラボのアプローチに注目しています。これは地域の中で多種多様な事業体が協力しながら、新しいイノベーションを引き起こすというものです。最も有名なものはMaaS Global社という企業がフィンランドのヘルシンキで進めたものですが、それを郊外でできないかと考えています。寛容性と多様性がある、魅力的でイノベーティブな郊外を、今すぐにイメージすることは難しいかもしれませんが、今はインターネットの時代で、場所を選ばずにイノベーティブな活動ができますから、家賃の低い郊外が新しく何かやり始めたい人のスタートアップに有利となります。やりたいことを受容する寛容性を郊外のエリアにひきこむことで多様性が生まれてくると考えられます。
 コミュニティを起点として地域資源を最大限活用し、必要とされる様々な社会活動や事業を、先端的技術も必要に応じて導入しつつ、多主体の協働によって共創する具体的方策が求められています。