「高齢者向け住宅水周り等介助動作寸法に関する研究」より
(2) 住戸の間口幅に関する検討(速報値)
今年度は住戸の間口幅に関する検討をしております。これは学生の卒業研究のデータをそのまま持ってきた速報値で、これから精査はしていかなければいけないのですが、是非ご紹介したいと思います。
今まで間口寸法に関してお伝えしてきたのは、ベッドを壁に対して垂直に置いた状況でも車椅子が通れる寸法を確保してくださいということでした。しかし、これからは床走行リフトなども入ってくると考えられるので、リフトも含めた寸法体系を考えていかなければなりません。もしくは移乗介助の寸法も踏まえて検討していかなければならないと思います。
そこで去年と同じように実験空間を作り、このような3つのパターンの介助を行った時の寸法を検証しました。これは実際に介護施設で実験空間を作り、床走行リフトを借りて、23人の介護職員の方に実験をしていただきました。
トイレの時には最小寸法というのを求めていたのですが、体の大きな方から小さな職員さんまで色々な方がいらっしゃるため、最小値・最大値と、平均値を求めました。平均値のデータを下図に示します。
従来のサ高住のプランは、比較的細長かったと思いますが、これからは比較的正方形に近いのが望ましいのではないかと思っております。やはり細長い方が計画はしやすく、様々な敷地にはまりやすいというようなことがあると思いますが、これからは間口幅を少し広く取っていただき、介護がしやすく最後まで終の住処になるような計画をしていただければと思っております。これは古い住居の基準について、内法寸法で13.2m²というものがあり、現在は10.6m²に緩和されましたが、これを計算していくと、壁芯寸法で13m²前後が車椅子やリフトなどの福祉用具を使う時には必要な寸法ということが改めて見えてきました。是非、介護付きの設計をされている場合にはこれを見ていただければと思います。
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