講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』
西岡靖倫さん・川内さん「きみの定住を支援する会−和歌山県紀美野町とワンストップパーソン−」
西岡靖倫さん
紀美野町役場に勤務しながら兼業農家として果樹栽培を営む。紀美野町への移住窓口となるワンストップパーソンを2006年から担当している。

川内和幸さん・和子さん
2002年に紀美野町へ移住。試験居住後に自宅を紀美野町に新築した。



1.移住政策の始まり
2.年配の夫婦から若年シングルまで
3.移住者の住まい探し
4.田舎暮らしのイロハ
5.紀美野町での仕事
6.果たすべき町の役割
7.移住者に聞く:川内夫妻
8.まとめ



1.移住政策の始まり
松村:  平成25年住宅・土地統計調査の速報によると和歌山県の空き家率は全国で第6位です。そのため、和歌山県全体として移住政策に力を入れているようですが、中でも紀美野町は代表的な自治体と伺っています。
西岡:  紀美野町は阪和自動車道の海南東ICから30分程度のところに位置します。2006年に旧美里町と旧野上町が合併してできました。現在の人口は9800人ほどですが、その一方でスーパーやガソリンスタンドがなくなったりしている状態です。

松村:  いつ頃から移住政策に取り組み始めたのでしょうか。
西岡:  「別荘を持ちたい」という問い合わせが、旧美里町役場に来るようになったのが1998年頃です。その頃から、少子高齢化に危機感を持つ町民が出てきて、行政も空き家をどうにかできないか考えるようになりました。紀美野町が生まれた2006年に「きみの定住を支援する会」を発足させて移住の対応窓口を一本化しまして、この時から町の対応が本格的になりました。
松村:  きみの定住を支援する会(以下、定住の会)というのは任意団体ですか。
西岡:  発足時はそうでしたが、2010年にNPOになりました。定住の会は2006年に和歌山県が始めた「わかやま田舎暮らし」という移住政策に関連しています。この政策では、市町村に「ワンストップパーソン」という窓口を設けて、移住の問い合わせのたらい回しを防ぐことになりました。その受け皿としてできたのが定住の会です。当時、モデル市町村に名乗り出たのが紀美野町、日高川町、那智勝浦町、田辺市、有田川町の5市町で、現在では17市町村に増えています。



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