図9 砂防堰堤(桜島国際火山砂防センターから撮影)
◆おわりに
ここまで鹿児島市街地と桜島の住民がいかにして活火山と共生しているかを紹介した中で、鹿児島市街地に比べ桜島ではより苛烈な噴火被害に対応する必要があることがわかった。桜島の人口は2013年から2023年にかけて32%減少しており、背景の一つとしては噴火に伴う被害リスクの高さが考えられる。鹿児島市内にフェリーでしかアクセスできないことも通勤通学の妨げとなり、鹿児島市街地に移り住む人もいるようだ[5]。
ところで、鹿児島市の都市計画区域は鹿児島、吉田、喜入、松元、郡山の5区域に分かれており、立地適正化計画の中でそれぞれの区域に居住誘導区域が定められている。桜島の東南部半分ほどの区域は都市計画区域に定められており鹿児島都市計画区域に含められているものの、居住誘導区域は定められていない[6]。立地適正化計画策定においては、防災対策と連携して災害リスクの高い地域を居住誘導区域から除外することが重要であり、桜島に居住誘導区域が指定されていないのは災害リスクの高さが背景にあると考えられる。しかしながら、活火山と住民の共生する様を見ることのできるまちなみは大変貴重である。まだ鹿児島及び桜島を訪れたことのない読者の方々には、ぜひこの貴重なまちなみを実際に感じていただきたい。
(文責・写真:福島渓太)
◆参考資料
[1]鹿児島市: 第2期鹿児島市船舶事業経営計画,
https://www.city.kagoshima.lg.jp/sakurajima-ferry/gaiyo/documents/keieikeikaku_dai2ki_zentaiban.pdf
[2]鹿児島県: 錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査(H21~H23調査結果とりまとめ),
https://www.pref.kagoshima.jp/ac01/infra/kotu/kinkouwanoudan/documents/23601_20120213110320-1.pdf
[3]鹿児島県: かごしま新広域道路交通計画,
https://www.pref.kagoshima.jp/ah04/documents/88382_20211029092606-1.pdf
[4]国土地理院: 地理院地図, https://maps.gsi.go.jp/
[5]南日本新聞: 「このままでは住む人いなくなる」…世界に誇れる活火山に暮らす島民が”夢の架け橋”に懸ける熱い思い,
https://373news.com/_news/storyid/185766/
[6]鹿児島市: 立地適正化計画の概要,
https://www.city.kagoshima.lg.jp/kensetu/toshikeikaku/toshikeikaku/machizukuri/toshikekaku/rittitekiseika.html