ケヤキ並木のみならず、建物そのものにも様々な工夫がなされています。屋根は二重構造で内部の土間には特別ににがりを混ぜた土が使用され、倉庫内の温度や湿度を一定に保つ工夫がなされています。酒田の冬は雪も多く降りますし、季節の差が非常に大きな場所であるためこのような工夫は欠かせませんでした。また、倉庫入り口前に大きく張り出した軒も荷物の出し入れを積雪に妨げられず容易に行うためのものでしょう。

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山居倉庫のような、直接人の生活の器としての建物ではないものによるまちなみからも様々な工夫が読み取ることができます。例えば並木道を作るときも、単なる木の植えるのではなく、そのまちなみの太陽の軌道であったり、風の向きなどを考慮して、木の種類や植える間隔を決めてみても良いのではないでしょうか。実際は「倉庫」という機能を満たすための工夫であるかもしれませんが、そういう所からも、馴染みのまちなみからは得られないような方法をここから得ることもできるのではないでしょうか。(文責:稲坂晃義)