ザルツブルグ(オーストリア)

ザルツブルグ

ザルツブルグとは。
ヨーロッパと聞いて誰もが思い浮かべるイメージは、歴史ある街並み、きれいな街並み・・・などでしょうか。たしかに、パリやローマなどの世界的に有名な都市はもちろんその街並みの美しさが高く評価され、観光地としても非常にメジャーとなっていますが、ヨーロッパにはほかにもたくさんの美しい街並みをもった都市があります。 今回私が紹介しようとする街、ザルツブルグもその一つです。 ウィーンから西へ3時間ほど電車にゆられると、モーツァアルトの生家があることでおなじみのザルツブルグに到着します。ザルツブルグの市街には多くの寺院、美しいイタリア風の建物、広場が散在し、ザルツァッハ川と周囲の山々が調和した景色が高い評価を受けています。

では、どんなまちなみを楽しめるのでしょうか?早速街をみていきましょう。

まずは上から街をながめてみます。 ザルツブルグの街並みはその地形の起伏から、街の中からも上からも楽しむことができるのが特徴ですが、まずは上からの景色を堪能してみましょう。 まちなみを一望できるスポットとして有名なのが、旧市街地側からケーブルカーに乗ると到着するホーエンザルツブルグ城塞です(写真1)。そこからはザルツブルグの街を360度見渡せて、さまざまな違った風景を見ることができ、何時間でも風景を楽しむことができます。 まず見えてくるのは、市街地とは反対の郊外側の風景(写真2)。これといった名所もなく、ただただ郊外の住宅地の広がる風景ですが、緑に恵まれた中で、白系の明るい住宅が並んでいて、見ているこっちまでとてもさわやかな気分になるような景色が楽しめます。

hayakawa_01.jpg (写真1)ザルツブルグのシンボル、旧市街地から見上げたホーエンザルツブルグ城塞。
hayakawa_02.jpg (写真2)郊外の住宅地がずっと向こうまで広がっている。


そしてなんといっても、市街地側の風景は絶景です(写真3)。同じ場所からでも見る方向が180度変わるとこれほどまでに景色が変わるのかと驚くほど、違う景色を味わうことができます。 麓には旧市街地が、その向こうにはザルツァッハ川が流れ、さらに向こうに新市街地を見ることができます。旧市街地側の古い寺院やザルツブルグの象徴である川、崖や山などがうまく調和し、特に晴れた日には遠くの山までみることができて、ザルツブルグの街を一度に楽しむことができます。

hayakawa_03.jpg (写真3)ザルツブルグの街を一望できる最も人気のスポット。城塞にあるカフェで長時間この景色を楽しむ人も多い。


街中をあるいてみましょう。
ザルツブルグの街を歩くのが楽しい理由のひとつに、路地があります。写真4はゲトライデカッセという道幅3メートルほどの路地です。たくさんのショップが立ち並んでいますが、どの店も手の込んだ鉄細工の看板をつけ、色調もまちなみに配慮しています。他の都市では非常に目だって見える店構えのマクドナルドも、街並みにあわせて落ち着いた色合いになっています。 そして、路地の合間から見える風景もまた、歩いている人を楽しませてくれます。ある路地からは山が、ある路地からは寺院が、ある路地からは城塞が見え隠れし、いつも違う道を通りたくなる衝動に駆られ、ついつい街歩きを楽しんでしまうようなつくりになっています。

hayakawa_04.jpg (写真4)ゲトライデカッセ。右側の手前にあるお店がマクドナルド。正面にみえるのが岩山に建つ近代美術館。


街をおもしろくしているのは、建物や自然ばかりではありません。 ザルツブルグはモーツアルトの生家のある町というだけあって、音楽が非常に盛んな土地でもあります。街中ではそこら中でモーツアルトの音楽を演奏する人々がいて、歩いている人みんなが立ち止まり、集い、音楽を楽しんでいます。(写真5) また、音楽以外にも町中に存在するオープンカフェ(写真6)から香る珈琲の香り、色とりどりのケーキなど、歩いているだけでうきうきとした気分にさせてくれるものがたくさんちりばめられているのです。さらには、こんなものまで。写真7は街の中で巨大チェスを興じる人々です。見ず知らずの人とチェスを通じての交流、素敵な思い出ができそうですよね。

hayakawa_05.jpg (写真5)モーツァルトの曲を愛する若者たち。彼らのすばらしい演奏には道行く人が必ず立ち止まる。
hayakawa_06.jpg (写真6)1705年創業の伝統あるカフェ"トマセッリ"。明るい店構えとおいしいケーキで多くのお客さんを幸せな気持ちに。
hayakawa_07.jpg (写真7)広場での巨大チェス。何時間もの熱戦が繰り広げられることも。


ザルツブルグの町の美しさ、それは自然と建物といったものがうまく調和した景色ももちろんですが、人々がつくりだす音楽、町中に転がる楽しいもの、それらを楽しむ人々の表情等、その街にいる人々が街並みに対して大きく貢献しているのかもしれません。(文責:早川玲理)

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