また、訪問時期が11月下旬だったこともあり、クリスマス用の装飾も多く見られました(写真7)。多くの高層ビルに囲まれながらも、こうした人間スケールの空間が存在することが、メルボルンの過ごしやすさを支えているのでしょう。
写真7 街中のクリスマス装飾 他にも各所で見られた
◆チャイナタウンをはじめとした多文化との融合
メルボルンは多文化都市として広く知られ、特に中華系を中心としたアジア系の文化が街の至るところで感じられます。その背景には、19世紀半ばのゴールドラッシュが大きく関係しています。1850年代、ヴィクトリア州で金が発見されると、一攫千金を求めて世界中から移民が流入し、中国からも多くの人々がメルボルンに渡りました。彼らの多くはゴールドラッシュの終息後も定住し、商業や飲食業を中心にコミュニティを形成していきました。
その象徴的な存在がメルボルンのチャイナタウンです。1850年代に誕生したこのエリアは、世界最古級のチャイナタウンの一つとされており、現在も活気に満ちた街並みが広がっています。また、近年では中国だけでなく、他の東アジア地域や東南アジア地域出身の移民も増え、多様なアジア文化が融合したエリアとなっています。
また、チャイナタウン以外にも、市内の至るところでアジア料理のレストランを見かけることができます。台湾料理、日本食、韓国料理、タイ料理、ベトナム料理など、その種類は非常に豊富です。
このように、メルボルンでは歴史的な背景と現在の国際化が融合し、アジア系文化が色濃く根付いています。その多様性は、街の風景や食文化に限らず、メルボルンのアイデンティティの一部となっており、世界でも類を見ないほど活気ある多文化都市を形成しています。