●まちなみ配慮のポイント |
敷地の周りには住宅が密集している上、西側の駐車場にいずれ建物が建つであろうこと、北隣が新聞販売店であり、早朝から営業される事を考え、中庭を設け、敷地全体を壁で囲み、外部に対しては閉じる事にしました。
しかし、東側の細い里道に圧迫感を与えることは避けたかったので、できる限り高さを押さえ、ポリカーボネイト板を用いてお互いの気配は感じられるようにし、中庭に植えた十月桜は道往く人からも楽しめるようにしています。
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講評
敷地一杯に建つモルタル壁に切り妻屋根、出の浅い庇、アルミの引違い窓というのが、ローコストな建築で埋められた密集市街地の家並みのコンテクストであろう。これはある意味で、余分な要素を削ぎ落とした究極の姿とも言える。その中に新たに住宅を計画する場合、町並みを意識したときどうすべきか考えると、それはなかなか難しい。作者は、このような乱雑な環境に、同じように削ぎ落とした形態を投入することで、この難題に応えている。真っ黒なミ二マルな形態、それに唯一穿たれた開口が奥の中庭にパブリックな視線を導き、息詰るような路地に一服の涼風を呼び込んでいる。より狭い裏道に対しては、中庭の囲いをガラスに換えるなど心遣いも優しい。完成度の高い現代路地建築である。
「まちなみ住宅」100選 審査委員会
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