講演+インタビューシリーズ『ライフスタイルを見る視点』


5.日常の楽しみ

・薪を使うライフスタイル
松村 まきストーブにものすごくこだわっておられますよね。
本能レベルの話だと思います。薪など自然が作ったものを燃やすと非常に心に訴えるものがあり気持ちがいい。子どもの頃にマッチを持ち出して火を燃やしてドキドキして楽しかったというのが、堂々とできる大人の楽しみです。火は家の中にあったほうがいいと思いますね。薪ストーブないときはろうそくを灯して食事するとか。
僕は自分のお箸を持ち運ぶほどエコロジストじゃないから、普通に割り箸使いますが、必ずそれは持って帰る。洗って乾かしてストックすれば焚き付けができる。紙を丸めて火を付け、細い木から太い薪を燃やすのが普通ですけど、紙はインクや漂白剤に何が入っているかわからない。灰を本当にきれいなものにするため全て木で燃したいから、細めの薪とマッチの間に割り箸が使える。そうすると、紙も使わず薪を木だけで煙らせず上手に燃やすのはテクニックがいるわけで、いわば一種のお手前です。火をつけるお手前を自分で楽しんで、今日は上手に焚けたとかいう感じですね。
冬場の4ヶ月の間、週に4回くらいは焚きます。まき割りも結構楽しいですよ。一瞬の緊張感で、パカーンと割れるのはなかなか爽快。若干危険も伴いますけど、そのリスキーなところがまたおもしろい。準備も燃やすのも大変ですけど、物質循環の一助になっているし、結構楽しめることが多いです。


・エコライフとサラリーマン生活のバランス
西田 エコハウスの最初のイメージはどんなものでしたか。
最初は隠遁生活のイメージでした。田舎で晴耕雨読の日々をエコハウスで過ごそうという感じだった。里山的なところで、雑木林があって小川があって畑があって、そういう立地で、冬暖かく夏涼しく、機械力を使わないでという姿です。結局はそれの都会版です。火を燃やすとか、わずかでも畑を作るとか、かなり実現しています。
木多 晴耕雨読な隠遁生活は、時間はたっぷりあるし、手間もかけられるからエコライフがイメージできるのですが、今は通勤や仕事をされながらで、その両立の秘訣は何ですか。
できないところは無理せず大工さんに頼めばいいし、ホームセンターもありますが、極力、残りものの木で作ることを楽しんでいます。植栽は娘が好きですから、ガーデニングの管理は娘の仕事になっています。日常一番大変なのは生ゴミの処理ですね。できるだけ自家消費しようとすると細かく刻むので手間がかかる。これを夏場は虫が食べてくれます。


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